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食品中の放射性物質に関し生産者から消費者までが会し意見交換

2019年11月28日

 食品中の放射性物質に関する意見交換会(主催=消費者庁、内閣府食品安全委員会、厚生労働省、農林水産省)が11月27日、都内で開催され、生産者、流通事業者、消費者団体を交え、福島県産品を始めとする被災地産物に関わる消費者意識や情報提供のあり方について考えた(=写真)。
 消費者庁が2012年度から継続している風評被害に関する全国意識調査によると、2019年2月の調査で「普段の買物で食品を購入する際に、その食品がどこで生産されたかを気にしますか」との質問に対し、「気にする」または「どちらかといえば気にする」との回答は59.0%だった。
 意見交換会の進行を務めたサイエンスコミュニケーターのすずきまどか氏は、同調査結果を踏まえ、基準値を超える食品はほとんど検出されなくなった一方、震災直後と比べて関連情報を得る機会が減っており、現状を正しく知らずに不安を抱える人たちもいるとして問題を提起した。
 消費者の立場から、全国消費者団体連絡会事務局長の浦郷由季氏は、先の意識調査で食品の産地を気にする人の多くは、「味が異なる」(29.7%)、「鮮度が異なる」(20.8%)、「価格が異なる」(22.1%)を理由としてあげているが、「放射性物質の含まれていない食品を買いたい」との回答も15.6%あることから、「まだまだ情報が十分に行き届いていない」と懸念を示した。
 また、日本橋三越本店で食品販売に携わる三越伊勢丹食品・レストランMD統括部の林真嗣氏は、被災地産品に対する消費者意識に関して「『応援』組と『拒絶』組に分かれているようだ」とした上で、生産者団体との協力で開催する即売会「マルシェ」を通じ、検査結果などの客観的事実とともに、「安全への気持ち」を生産者から直接伝えてもらう重要性を強調。
 生産者の立場からは、福島市で稲作を営む(株)カトウファーム代表の加藤晃司氏が、消費者の信頼獲得に向け、農産物の安全確保に関わる取組「GAP」(Good Agricultural Practice:農業生産工程管理)認証が有効なことをあげ、「まだ普及段階だが、福島全体の一次産業のイメージアップにつながる」と期待感を述べた。
 同意見交換会は、10月の宮城を皮切りに、福岡、京都、東京で順次行われてきたが、すずき氏は、「『生産者も生活者』という声が印象に残っている」と、これまでの開催を振り返った。カトウファームとともに福島産品の販売促進に努めてきたという林氏は、「生産人口が減っていることが最大の問題」と、地元農業の実態を述べ、「生産者、販売者、消費者が一緒に作る」を今後のキーワードとして掲げた。