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スウェーデンの世論調査:原子力発電支持派の割合が約8割に増加

2019年12月2日

 原子力発電を支持するスウェーデンの専門家グループ「Analysgruppen(アナリシス・グループ)」はこのほど、民間の世論調査会社であるNovus社との協力で実施した「原子力発電に対するスウェーデン国民の意識調査」結果を公表し、原子力支持派の割合が前年実績の71%から78%に増加したことを明らかにした。このうち43%は原子炉の新設に賛成するなど、同じ設問への賛成が28%だった2017年、36%に増加した2018年を経て、総発電量の約40%を賄う原子力発電の支持派は確実に増加したと強調している。

 この調査はアナリシス・グループが1997年から毎年行っているもので、今回Novus社は、18歳から79歳までのスウェーデン人1,027名に対し、ウェブを通じたインタビュー形式で10月下旬に調査を実施。調査への回答率は54%だったとした。

 同グループに所属するウプサラ大学の原子核物理学者M.ランツ博士によると、78%のうち残りの35%は「既存の原子炉が寿命を終えるまで稼働させる」ことを選択した。一方、政治的判断で既存炉を廃止することに賛成したスウェーデン人の割合は、これまで安定的に20%台をキープしていたが、今回大幅に変化して過去最低の11%に留まった。また、男女間の見解の相違は徐々に縮まっており、これまで女性は男性よりも原子力に懐疑的な傾向があったが、原子力発電を受け入れる女性の比率は徐々に高まっているとした。
 同博士は、昨年来、原子力を巡る議論に弾みが付き、この議論が鈍化する兆しは見うけられないとした上で、原子力発電の潜在的な危険性を一方的に取り上げるのではなく、事実に基づいた認識や原子力のもたらす恩恵が議論されるようになったと指摘。化石燃料に代わって、天候に左右されずに安定的に発電するというエネルギー部門の需要に、原子力は応えつつあるとした。
 これらに関する個人的な結論として、同博士は「地球温暖化に原子力が与える影響は小さいとの知識が広く普及してきたことによる」と明言。化石燃料の使用量増加にともない、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告書や、その他のニュース報道が様々な警告を発しているため、温暖化の防止で原子力の果たす役割が一層明確になってきたと説明している。

 スウェーデンでは、TMI事故後の約30年間にわたり脱原子力政策を敷いてきたが、代替電源の見通しがたたず、2010年6月に同国の議会がこの政策を撤回。既存の原子炉10基に限り、建て替えを可能にする法案が2011年初頭から施行された。しかし、2014年9月に発足した(緑の党を含む)中道左派政権は、連立与党間のエネルギー政策合意の中で原子力発電所を将来的に全廃し、再生可能エネルギーとエネルギーの効率化で代替することを決めた。
 また、スウェーデン放射線安全庁(SSM)は2014年10月、原子力発電所における中長期的安全対策として、2021年までに独立の炉心冷却機能を設置するよう事業者に指示。市場においては電力価格が長期的に低迷し、1980年代に導入された原子力発電税が徐々に上昇していったことから、原子力発電事業者は経済性の低下したオスカーシャム1、2号機を2017年6月までに永久閉鎖している。
 リングハルス原子力発電所の事業者も、1、2号機を2020年12月までに閉鎖する方針を表明。しかし、政府は2016年6月、責任のあるやり方で2040年までに再生可能エネルギー100%のエネルギー供給システムに移行するため、「原子力発電税を今後2年間で徐々に廃止する」方針を打ち出した。新設に関しても、既存の原子力炉10基分であれば建て替えを許可すると明言。
 これを受けて、事業者はリングハルス3、4号機については独立の冷却システムを設置するため、合計9億クローナ(約103億円)を投資するとの判断を2017年11月に下した。フォルスマルク発電所の3基に関しても、同事業者は同様の投資を行い、2020年以降も運転を継続するとしている。

 (参照資料:アナリシス・グループ(スウェーデン語)の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの11月26日付「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)