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ロシアで鉛冷却高速実証炉「BREST-300」施設の総合建設契約をTITAN-2社が受注

2019年12月10日

©TVEL社

 ロシア国営の原子力総合企業ロスアトム社傘下の燃料製造企業であるTVEL社は12月5日、シベリア化学コンビナート(SCC)で鉛冷却高速炉(LFR)のパイロット実証炉「BREST-300」(電気出力30万kW)を建設するプロジェクトについて、施設の総合建設契約を発電施設のエンジニアリング企業であるTITAN-2社と締結したと発表した。
 契約総額は263億ルーブル(約449億円)で、TITAN-2社は2026年末までに「BREST-300」の原子炉建屋とタービン建屋、および関連するインフラ施設を建設する。

 SCCはシベリア西部のトムスク州セベルスクに位置するTVEL社の子会社であり、ロスアトム社はSCC内で「BREST-300」のみならず専用の窒化物燃料(MNUP)製造プラント、および同炉から出る使用済燃料の再処理プラントを建設する。これは、開発実績の豊富なナトリウム冷却高速炉(SFR)に加えて、LFRの研究開発も並行して実施するという「ブレークスルー(PRORYV)プロジェクト」の一部であり、その目的は、固有の安全性を有する高速炉で天然ウランや使用済燃料を有効利用するクローズト原子燃料サイクルを確立することにある。
 「BREST-300」に燃料製造プラントなどを加えた施設全体は「パイロット実証エネルギー複合施設(PDEC)」(=3D完成予想図)と呼称され、同炉はその中心的設備となる。「BREST-300」が完成した後、ロスアトム社は出力を120万kWに増強した商業規模のLFRを建設することも検討中。この計画についてはトムスク州の知事が近年、州内のセベルスクに誘致するため、提案書をTVEL社に送付したと伝えられている。

 PDECプロジェクトの進捗状況について、ロスアトム社の担当者であるV.ペルシュコフ氏は昨年10月、原子燃料サイクルの確立に関する産業界の会議で、「日程通り順調に進展している」と発言。MNUP製造プラントの操業開始を2023年に予定しているほか、「BREST-300」については2026年以降の運転開始が見込まれると述べた。
 TVEL社は今回の契約締結により、同プロジェクトは大きな節目を迎えたと説明。MNUP製造プラント関係の作業を開始した後に「BREST-300」関連の工事に取りかかる方針で、PDEC施設の建設と操業によって、セベルスク地方では800名分以上の雇用が生み出されると強調している。

 (参照資料:TVEL社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの12月5日付「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)