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米エネ省のVTR計画への支援でGEH社がテラパワー社と協力

2020年1月23日

 2018年に米エネルギー省(DOE)の「多目的試験炉(VTR)」プログラムの支援企業に選定されたGE日立・ニュクリアエナジー(GEH)社は1月21日、ビル・ゲイツ氏が出資する原子力開発ベンチャー企業のテラパワー社と共同で、VTRの設計と建設に向けた官民協力を推進していくと表明した。
 VTRは、新型炉に使われる革新的な原子燃料や資機材、計測機器等の開発で重要な役割を担うナトリウム冷却式の高速スペクトル中性子照射試験炉となる予定。DOEは官民の費用分担で同プログラムを進めたいとしており、テラパワー社はすでにVTRの設計促進等で同プログラムを支援中。DOE傘下のアイダホ国立研究所(INL)で運営を担当するバッテル・エネルギー・アライアンス(BEA)が、昨年11月に費用分担パートナーシップの構築をDOEに代わって関係者に依頼した際、GEH社とテラパワー社は共同で提案書を提出していた。
 また、ワシントン州の地方自治体など27の公益電気事業者で構成されるエナジー・ノースウェスト社は両社の連携協力を支援していく考え。これに続くその他の企業や投資家が、両社の取組に追加で参加する意思を表明している。

 米国には現在、高速スペクトル中性子の照射を行える施設が存在せず、それが可能なVTRの国内建設は、2018年9月に成立した「2017年原子力技術革新法(NEICA2017)」でも必要性が強調されていた。DOEは、GEH社のモジュール式ナトリウム冷却高速炉「PRISM」で実証済みの技術をVTR開発に活用する方針で、2019年3月にはVTRの概念設計に取りかかると発表。VTRプログラムを通じて建設プロジェクト全体のコストやスケジュールの見積作業を進め、本年中には建設の可否について最終的な判断を下す。建設が決まれば、2025年12月までに建設工事をINL内で完了し、2026年から最大限に利用できる施設として運転開始することになる。

 GEH社は今回の連携によって、ナトリウム冷却炉の技術で豊かな経験を有するエンジニアや科学者の最強チームが結成されると説明。双方のチームがVTRの設計と資機材調達・建設に関する特殊な経験を互いに補い合えるとした。
 テラパワー社は第4世代の進行波炉(TWR)を開発するため、10年にわたってナトリウム技術の開発に投資を行っているが、原子力のポテンシャルを最大限に活かすには、新素材の実験や最新技術の実証に対する投資で産業界と政府が協力していかねばならないと指摘した。また、同社によれば米国の原子力産業界は、原子力技術で世界のリーダーシップを握るため、次世代の原子力技術を構築する準備が出来ている。VTRによって原子力技術革新の基盤が米国にもたらされ、それが米国の経済や国家安全保障を促進することになるとしている。

(参照資料:GEH社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの1月22日付「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)