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ロシアで稼働中の高速実証炉「BN-800」に初回取替用MOX燃料を装荷

2020年2月3日

©ロスアトム社

 ロシア国営の原子力総合企業ロスアトム社は1月28日、ベロヤルスク原子力発電所(=写真)で2016年10月から営業運転中の高速実証炉「BN-800」である4号機(FBR、88.5万kW)に、初回分の取替用ウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料集合体装荷したと発表した。同炉は燃料交換を含む定期検査を終え、すでに運転を再開している。
 運転開始当時、同炉の初期炉心はウラン燃料とMOX燃料の両方が含まれる炉心であり、今回の取替により炉内のMOX燃料集合体は合計18体となった。民生用原子力発電公社のロスエネルゴアトム社とロスアトム社の燃料製造子会社であるTVEL社は、今年中にさらに180体のMOX燃料集合体を同炉に装荷し、2021年末までには残りすべてのウラン燃料をMOX燃料に交換。ロシアの歴史上初めて、フルMOX炉心で運転を行うとしている。

 高速炉用のMOX燃料を産業規模で生産することは、2020年までを展望した「ロシア連邦目標プログラム」の目標の1つに指定されていた。ここでは高速炉とクローズド核燃料サイクルの技術開発が最優先に行われており、ロスアトム社は「熱中性子炉と高速炉をセットで稼働」という2つの要素を持つシステムに原子力発電を移行させる戦略である。同社はこれらによって(1)原子力発電所の燃料物質の量を飛躍的に増加できる、(2)使用済燃料をただ貯蔵しておくのではなく、リサイクルが可能になる、(3)施設内に蓄積されている劣化ウランとプルトニウムを有効利用できる――など、様々な重要タスクが解決されると認識している。

 ベロヤルスク4号機の初期炉心は、モスクワ州エレクトロスタリにあるTVEL社のエレマシュ工場で製造されたウラン燃料集合体と、ウリヤノフスク州ディミトロフグラードの国立原子炉科学研究所(RIAR)で製造されたMOX燃料集合体で構成されていた。今回のMOX燃料集合体は商業炉の使用済燃料から生成されたプルトニウム酸化物と、ウラン濃縮後の劣化六フッ化ウランから生成された劣化ウラン酸化物を材料に、クラスノヤルスク地方ゼレズノゴルスクにある鉱業化学コンビナート(MCC)で製造されたもの。MCCでは2013年8月にBN-800用のMOX燃料製造施設(定格製造能力:60トン/年)が本格着工、2014年12月から製造能力6トン/年の規模で運転が始まり、取替用MOX燃料一式については2018年後半から製造開始したとしている。

 (参照資料:ロスアトム社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの1月28日付「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)