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米ビーバーバレー原子力発電所の事業者が2年前の早期閉鎖予告を撤回

2020年3月17日

©エナジー・ハーバー社

 米国のエナジー・ハーバー社(旧ファーストエナジー・ソリューションズ社)は3月13日、ペンシルベニア州で運転中のビーバーバレー原子力発電所(約100万kWのPWR×2基)(=写真)について、2018年3月に発表した「2021年中に早期閉鎖するための予告通知」を撤回すると同地域の地域送電機関(RTO)「PJMインターコネクション(PJM)」に伝えたと発表した。

 早期閉鎖を予告した際、同社はビーバーバレー発電所に加えて、オハイオ州のデービスベッセとペリー2つの原子力発電所についても2020年と2021年に永久に機能停止させるとしていた。しかし、オハイオ州では昨年7月、CO2を排出しない原子力発電所への財政支援を盛り込んだ法案が立法化され、ファーストエナジー・ソリューションズ社(当時)はこれら2つの原子力発電所の早期閉鎖方針を撤回。デービスベッセ発電所では、2020年春の停止期間中に燃料交換するための準備を直ちに開始すると表明している。

 ビーバーバレー発電所の早期閉鎖方針を撤回する理由についてエナジー・ハーバー社は、ペンシルベニア州のT.ウルフ知事が昨年の10月以降、米北東部地域における州レベルの発電部門CO2排出量(上限設定型)取引制度「地域温室効果ガスイニシアチブ(RGGI)」に同州を参加させる方針である点に言及した。同州がRGGIに参加した場合、炭素を出さないエナジー・ハーバー社の原子力発電設備にも他の電源と平等な機会が与えられ、同社の小売り成長戦略に沿って環境・社会面の目標や持続可能性等の達成が促進される。
 ただし、目標とする2022年初頭までにRGGIの手続が開始され、期待した効果が出なかった場合は、同社はビーバーバレー発電所の永久的機能停止を改めて検討しなければならないとしている。

 2009年に制度として始まったRGGIには現在、マサチューセッツ州やコネチカット州などニューイングランド地方の6州に、中部大西洋岸地域のニューヨーク州、ニュージャージー州などを加えた合計10州が参加している。参加地域全体のCO2排出量の上限を設定した上で、排出量オークションにより各排出源に最大許容排出量を配分。発電事業者は所有する発電設備に排出枠を当てるだけでなく、排出枠を売買することや余剰を貯蓄することも可能である。

 エナジー・ハーバー社は今のところ、ビーバーバレー発電所の早期閉鎖撤回決定を原子力規制委員会(NRC)に口頭で伝えたのみだが、手続きとして30日以内に書面でも連絡する方針。また今回の決定は、原子力発電運転協会(INPO)と原子力エネルギー協会(NEI)にも通知済みだとした。
 CO2を実質的に排出しない信頼性の高い原子力発電所等により、同社は長期的な価値の創生や将来的な低炭素経済における競争力の増強など体制を整え、顧客や関係者が環境面や社会面の目標を達成できるよう努力を傾注していきたいとしている。

 (参照資料:エナジー・ハーバー社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの3月16日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)