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自動車エンジン組み立て工場見学-人材育成のベンチマークとして-(報告)

2018年10月23日

当協会は、原子力人材育成・確保に向けて産学官が相互協力を図る「原子力人材育成ネットワーク」の共同事務局として活動しています。活動の一つである実務段階人材育成分科会では、産業界(電力会社、メーカーなど)の技術者を対象とした原子力人材育成に関する情報提供、研修等の開催支援などを目的に年4回の分科会を開催しています。今年度3回目の分科会は10月2日に開催され、他産業の人材育成の取組みについて学ぶことを目的として、日産自動車(株)横浜工場を見学しました。

日産自動車(株) 横浜工場は、1933年に創業し、当時は日本初の自動車一貫生産工場として稼働していました。

生産ロボットによる「お絵かきデモ」作品

現在は、エンジンやモーター、サスペンションなどのユニット生産拠点となっています。工場の敷地面積は約54万m2(東京ドーム11.5個分)、工場の従業員数は約3,100人(グローバルで14万人)で、工程ごとにより高品質な製品を効率的に生産するアライアンス生産方式(APW)を導入し、エンジンは約1000台/日を生産しています。

エンジン組立工場では、主力の「MR型エンジン」(直列4気筒、排気量1800及び2000cc)の生産ラインを見学しました。このエンジンは、コンパクトで燃費が良く、世界的に人気のSUVエクストレイル(北米ではローグ、欧州ではキャッシュカイとして販売)に搭載されています。エンジンの主要部品であるシリンダーブロック、シリンダーヘッド、クランクシャフトは重量があるため、産業用ロボットが組み立てており、その自動化率は90%を超えています。仕上げ工程では、熟練工がボルトで部品を締めたり電気ハーネスを取り付けたりしています。その際、人的ミスを起こさないように、目視とセンサーで部品管理を行います。最後に組み上がったエンジンは無人運搬車(磁気センサーで指定ルートを巡回)で検査エリアまで運ばれます。日産・横浜工場で完成したエンジンは、船で日産車体九州へ運ばれ、そこで完成車体となります。

その他、作業工程を「見える化」して紹介するパネル板が掲示されていたり、月1回作業改善の日が設けられており、改善提案が奨励されています。工場の一角には、体験コーナーがあり、従業員が改善提案で考案した、実際のエンジン組立ラインに採用されている「モノづくり」の装置も展示されていました。

見学に参加したメンバーからは、以下のような感想がありました。

・エンジンの生産においては、同じ仕様の部品を高品質かつ低コストで製作することが目標となるが、一点物が多い原子力業界とは大きく異なる部分である。一方で、エンジンを一点ごとに履歴を残し、最適化している点は、今後の原子力発電所の新検査制度で目指しているメンテナンスの最適化にも大いに参考となる事例だと感じた。
・原子力施設の廃止措置事業では、原子力施設内の物流計画・システム構築、更に原子力特有の汚染管理と品質保証をかなり厳しい作業環境の中で実施が求められる。日産のエンジン製造ラインを見て、狭小環境の原子力施設内で解体物を管理、品質確認を行い必要なデータ等の自動記録・保管を効率的に行うヒントがあったように感じた。
・人材育成に関して、工場では工程ごとに社内資格を作り、技能工認定者の木札を張り出していた。個々人の技能習得の励みになると同時にインセンティブと見える化をうまく取り入れている。原子力業界においても、資格認定整備の動きがあり是非とも参考にしたい。

お問い合わせ先:人材育成部 TEL:03-6256-9315(直通)

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