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日本原子力産業協会 原子力新年の集い今井会長挨拶

2016年1月15日

日時:2016年1月6日(水)14:30~

場所:東京プリンスホテル2F「鳳凰の間」

 

皆様、明けましておめでとうございます。今年の正月は大変穏やかで、良い正月をお過ごしのことと思います。

昨年を振り返りますと、再稼働元年の年と考えております。川内1、2号機が稼働しまして、大飯3、4号機が停止してからちょうど2年の空白期が終わり、ありがたいことだと思っております。また、暮れには高浜3、4号機の運転差し止めの命令が取り下げられたことは本当に喜ばしいことでした。そして福井県、高浜町の行政当局に加え、議会も再稼働に賛成して頂き、完全にスタートラインに立ってウォーミングアップが整った状況となりました。伊方3号機と並びまして、スタートラインに立った3基は一刻も早く再稼働してもらうことを心から期待する次第であります。

そうは申しましても、原子力規制委員会が設立されてから3年半、原子力規制委員会が新たな規制基準を作成してから2年半が経過しております。2年半で26基の再稼働申請に対して、設置許可が下りたのがわずか5基、再稼働に至ったのが2基という実績を踏まえますと、私は再稼働をより加速させなければならない状況にあるのではないか、と認識しております。

これはご承知のように、地球環境問題とも密接な関わり合いがございます。昨年11月にCOP21の会合がパリで開かれまして、気候変動に関する「パリ協定」が採択されました。地球温暖化をこれ以上進めないために、世界196の国・地域が全て、温室効果ガスを削減すると約束したわけでございまして、これは人類の将来にとって大変ありがたいことでございます。日本はその中で2030年までに、原子力が停止した2013年を基点に17年かけて温室効果ガスを26%削減することをコミットいたしました。もちろん強制力はありませんが、5年ごとに報告しますので、それが達成できないと大恥をかくわけでございます。この26%減らすという根拠が7月に発表した「長期エネルギー需給見通し」にあり、そこでは再生可能エネルギーを今の倍に相当する22~24%に、当時は0だった原子力を再稼働させて20~22%に引き上げることになっております。これが前提になっているわけですから、原子力発電がうまく稼働しませんと、世界に約束した削減目標を達成できないことになりますので、これからの原子力の再稼働につきましては本当に重要な段階にきていると考えております。

一つ、今年の課題として私が認識しておりますのは、今まで設置許可を得たのは全部PWRでございまして、日本に約半数あるBWRはまだ1基も認められていないということであります。現在、東京電力が柏崎刈羽で6,7号機の再稼働を申請しておりますが、新潟の問題は大変難しい状況でございまして、是非政府の力を借りないと難しいと私は考えております。柏崎刈羽6,7号機が稼働しないと22%は夢の夢になってしまいますから、是非稼働しなければいけないと思っております。

それから、今年の課題といたしまして、もう一つございますのは、今後の核燃料サイクルについてでございます。

これには2つありますけれども、まず「もんじゅ」についてでございます。「もんじゅ」は昨年暮れに規制委員会から文部科学大臣に運営体制見直しの勧告が出されました。一昨年の2014年に閣議決定された日本のエネルギー基本計画の中で「もんじゅ」について書かれていることをご参考までに読みますと、「廃棄物の減容・有害度の低減」をし、それからまた、「核不拡散関連技術等の向上のための国際的な研究拠点として位置づけ」る、と記載されておりまして、高速増殖炉のことについては明確に述べられてはおりません。今さら日本原子力研究開発機構に代わって運営を引き受けるところはないと思いますが、文科省は昨年の暮れに有馬先生を座長とした審議会を作りまして、現在ここで「もんじゅ」の在り方について検討しており、4~5ヶ月のうちに結論を発表しなければいけないということでございます。この審議会は大変重要でございまして、是非適切な結果を出していただきたいと思います。

これとまた関連いたしますのが、核燃料サイクル、使用済燃料をどうするかという問題でございます。これについても閣議決定されたエネルギー基本計画の文章を読ませていただきますと、プルトニウム問題が絡んできますので非常に回りくどい表現になっているのですが、「核燃料サイクルについて、これまでの経緯も十分に考慮し、引き続き関係自治体や国際社会の理解を得つつ取り組むこととし、再処理やプルサーマル等を推進する」とはっきり言っているわけでございます。なぜ再処理を行うかというのは、使用済燃料の中のプルトニウムを取り出して燃料としてまた使おうというものですから、これは日本のエネルギー自給には非常にプラスになるわけでございます。また最終的な廃棄物を処分するに際しては、プルトニウムがかなり取り出されていますから、量も減るし、有害度も減るということで、これは是非進めようと国が決めているわけですけれども、なにせプルトニウムの問題は、世界から注目されております。と申しますのも、現在、国外での保管分も含めまして日本に48トンのプルトニウムが存在します。これは世界から色々な目で見られているわけで、これを平和利用のために早く使用するということをはっきりさせなければなりませんが、再処理をすれば更に年間数トンのプルトニウムが発生いたします。このプルトニウムは、もんじゅ、プルサーマル、フルMOX等で全てエネルギーとして利用することが決まっておりますが、具体的にどうなるのかが重要です。2年後の2018年には、アメリカとの原子力協定が30年ぶりに改定されることになっておりまして、その時に、このプルトニウムの処理について数字の上でもきちんと辻褄が合わないとなかなか難しい問題となります。従いまして、是非今年から、この問題については本当に真剣に検討して、しっかりとした基本方針を政府に出していただきたいと、考えております。

もう一点だけ今年の課題について申し上げますと、原子力の海外への輸出でございます。いま中国が猛烈な勢いで世界中に売り込みを実施しております。また韓国、フランス、ロシアも官民一体となって販売攻勢をかけております。日本も安倍首相は原子力を含むインフラ輸出には非常に力を入れておりまして、先月も暮れにインドを訪問されて、新幹線の売り込みやインドとの原子力協定の締結についての大筋合意を得ました。この原子力の海外への輸出は日本の経済の発展にとってもプラスでございますし、せっかく今まで培った最高の原子力技術を生かすことになりますし、またそれを実施することによって人材育成ができるということですから、是非進めるべきだと思います。従いまして、安全に十分気をつけながら、国の基礎体制をしっかり確立した上で、積極的に官民一体で売り込みをはかっていただきたいと思っております。

以上、今年の問題となりそうな課題を申し上げました。今年は再稼働を本格化する年として位置づけたいと思います。私ども原産協会といたしましても、会員の皆様、そしてここにお集まりの皆様のご支援を得まして、従来から続いております福島の復興への支援・協力に取り組むと同時に、原子力の復活、これにつきまして全力を挙げて取り組むつもりでございます。これをお誓い申し上げまして、私の新年のご挨拶と致します。どうも、ご清聴ありがとうございました。

以 上

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