シリーズ「あなたに知ってもらいたい原賠制度」

【9】新規原子力導入国の原賠制度

 今回は、新規原子力導入国の原賠制度についてQ&A方式でお話します。

q1
(新規原子力導入国の制度整備)
原子力発電を新規に導入する国では、原賠制度もまた導入されるのでしょうか?
a1
  • 現在、世界では30カ国が商業用原子力発電を行っており、これに倍する数の国が将来の新規導入を検討している状況にあります。導入にあたっては、発電所自体をはじめ、原子力産業の整備・充実、人材の育成、資金の確保などの基礎的なインフラ整備が必須です。また、こうした物的整備と共に不可欠なのが、原子力に関する法制度の整備であり、原賠制度はこのような法整備における重要項目となっています。
  • 原賠制度の骨格は、原子力リスクの特異性に対応した厳格責任、責任の集中、制限的な免責事項、責任額の限度、賠償措置、国家補償などです。こうした基本的原則を立法化し、法制度として整備することが必要となります。
  • こうした法整備に関してはIAEA(国際原子力機関)が作成している各種ガイダンス文書が、新規導入国にとって大変に有用となっています。

【A1.の解説】

 IAEAでは、開発途上国の新規導入にあたって、最終的に自立的に計画を立案実施し、原子力発電を安全、安定的に運転できるような能力を涵養するため、Nuclear Safety Series, Nuclear Security Series, Nuclear Energy Series, Nuclear Law Handbookなど各種の基準やガイドブックを作成しています。
このうち、各種のインフラ構築を目指して、検討を重ねていくためのマイルストーンドキュメント[”Milestones in the Development of a National Infrastructure for Nuclear Power,”(2007)]と原賠制度の具体的内容が記載されている原子力法ハンドブック[”Handbook on Nuclear Law”(2003 )]は、原賠制度を検討・確立するうえで、非常に有益な資料となっています。

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q2
(新規導入国の制度整備状況)
我が国が二国間協力文書に基づき協力している新規原子力導入国に関して、現在、原賠制度はどの程度整備されていますか?
a2
  • 我が国が国際協力の一環として、現在二国間協力文書を締結している新規原子力導入国は、ベトナム、インドネシア、カザフスタン、アラブ首長国連邦(UAE)、モンゴルの5カ国です。
  • 5カ国のうち、ベトナム、インドネシア、カザフスタンの3カ国には原子力法に定められた原賠制度があります。
  • アラブ首長国連邦(UAE)では原賠制度について、原子力損害賠償制度を導入するとの内容を含む白書が公表されています。
  • モンゴルでは原子力法が発効していますが、原賠制度の有無については未だ明確になっていません。

【A2.の解説】

 世界中に多数ある新規原子力導入国のうち、我が国が二国間協力文書を締結し、導入に協力している国は、ベトナム、インドネシア、カザフスタン、アラブ首長国連邦(UAE)、モンゴルの5カ国です。

 5カ国の法律のうち、ベトナムの原子力法(2009年)、インドネシアの原子力法(1997年)、カザフスタンの原子力利用法(1997年)の中には、原子力事故の際の責任を原子力事業者に集中するなど、原賠制度の仕組みが規定されています。

 なお、アラブ首長国連邦(UAE)では、2008年4月20日に発表された「原子力平和利用の評価と開発可能性に関するアラブ首長国連邦の政策」という白書の中で原賠制度について、UAEが原子力発電を採用した場合には、ウィーン条約、同改正議定書、ウィーン条約およびパリ条約の適用に関する合同議定書、補完基金条約を締結することとし、これら条約の基本的原則をUAEの原子力損害賠償法制度に導入するとしています。

 モンゴルでは、2009年8月15日に原子力法が発効していますが、原賠制度について詳細が明らかになっていません。

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