シリーズ「あなたに知ってもらいたい原賠制度」

【42】台湾の原子力開発事情と原賠制度

 今回は、エネルギー輸入率が99%を越える台湾の原子力開発事情と原賠制度についてQ&A方式でお話します。

q1
(台湾の原子力開発事情)
台湾の原子力開発はどのような状況ですか?
a1
  • 台湾は国産エネルギーに乏しく、99%以上のエネルギーを海外からの輸入に依存しています。
  • 1978年にアジアでは日本に次いで2番目に原子力発電を導入し、現在は3ヶ所の原子力発電所において6基、520万kWが運転中です。
  • 4番目となる龍門原子力発電所において2基270万kWの建設が1999年に始まっていますが、計画は大幅に遅れており現在も建設工事が続いています。

【A1.の解説】

 台湾は国産エネルギーに乏しく、エネルギー需要の増加につれて海外依存率が高まった結果、2003年以降は99%以上のエネルギーを海外に依存している状態にあります。そのため、エネルギーの輸入依存度低下やエネルギー源の多様化を目指して、再生可能エネルギー開発、新エネルギー開発、省エネルギー、エネルギー効率向上に取り組んでいます。

 台湾の電気事業は民営電力事業者にも開放されているため、国営の台湾電力公司が約67%、民営発電所が約17%、コジェネレーションが約16%の発電設備容量を所有しています。原子力発電所はすべて台湾電力公司が所有・運転しており、設備容量は全体の約1割となっています。

 台湾はアジアで日本に次いで2番目に早く原子力発電の導入を果たしており、1978年に運転開始した第一(金山)、1981年に運転開始した第二(國聖)及び1984年運転開始した第三(馬鞍山)の原子力発電所に各2基ずつの合計6基、520万kWが運転中です。この他に、第4(龍門)原子力発電所において2基270万kWの建設が1999年に始まっていますが、現在も建設工事が続いています。

 龍門発電所の建設は1981年の立法院(国会)で建設予算が承認され建設準備が開始されましたが、予算の凍結と解除が繰り返され、1999年に本格的に着工された後にも2000年の総統選挙で勝利した民進党政権が建設工事を中断するなどの紆余曲折を経て2001年に工事が再開されました。また、2008年には台風により2号機原子炉建屋が浸水して排水作業や設備取替え工事のために建設が遅れました。現在は福島原発事故を受け、安全性が保証されなければ運転認可が下りないことになっています。

 台湾電力の原子力発電所の設備利用率は2000年頃の85%前後から次第に向上して、近年は90%前後の高水準を維持していますが、原子力発電所の運転認可期間は40年となっており、運転認可が失効した炉から閉鎖されることになっています。2018年12月に第1サイト1号機が閉鎖され、2025年3月までに第1サイトから第3サイトまでの6基がすべて閉鎖される見込みです。

q2
(台湾の原賠制度)
台湾の原賠制度はどのようになっていますか?
a2
  • 台湾の原賠制度は1971年に制定・施行され、1977年、1997年に改正されたた「核子損害賠償法」(原子力損害賠償法)に規定されています。
  • 「核子損害賠償法」には、被害者の保護と原子力産業の育成を目的として、無過失・厳格責任、責任集中、賠償措置の強制、責任限度額、国の補完的救済等が規定されています。
  • 運転者の責任制限額は賠償措置額と同額の42億台湾ドル(約115億円)となっており、賠償措置が機能しない場合は国が運転者に資金を貸し付けることで補完的救済が行われます。
  • 現在、賠償措置額を42億台湾ドルから150億台湾ドルへ引き上げる法案が審議されています。

【A2.の解説】

 台湾の原賠制度は1971年に制定・施行され、1977年、1997年に改正されたた「核子損害賠償法」(原子力損害賠償法)に規定されています。
この法律はウィーン条約などの国際的な原子力損害賠償法制を参考として作られたものであり、被害者の保護と原子力産業の育成を目的として、無過失・厳格責任(第18条)、責任集中(第23条)、賠償措置の強制(第25条)、責任限度額(第24条)、国の補完的救済(第27条)等が規定されています。

台湾の賠償措置額は42億台湾ドルとされ(第24条)、その額をもって運転者の責任が制限されます。運転者が賠償措置を行った保険会社または保証人から受け取った資金が、賠償責任額を填補するのに十分でない場合、責任制限額の範囲内で国家が運転者に資金を貸し付けることにより、補完的救済が行われる仕組みになっています(第27条)。また、損害額が責任制限額を上回る場合は、死亡および傷害に対する賠償が優先され、原子力損害が後日発見された場合に備えて賠償総額の10%を取り置くことになっています(第33条)。
免責事由は、国際武力紛争、戦争行為、国内暴動または重大な自然災害に直接起因する場合となっています(第18条但書)。

なお、台湾では現在、賠償措置額を42億台湾ドルから150億台湾ドルに引き上げる法案が審議されています。

より詳細な解説はこちら

○ 原産協会メールマガジン2009年3月号~2012年10月号に掲載されたQ&A方式による原子力損害賠償制度の解説、「シリーズ『あなたに知ってもらいたい原賠制度』」を冊子にまとめました。

最新版の冊子「あなたに知ってもらいたい原賠制度2012年版(A4版324頁、2012年12月発行)」をご希望の方は、有料[当協会会員1,000円、非会員2,000円(消費税・送料込み)]にて頒布しておりますので、(1)必要部数、(2)送付先、(3)請求書宛名、(4)ご連絡先をEメールでgenbai@jaif.or.jpへ、もしくはFAXで03-6812-7110へお送りください。

『あなたに知ってもらいたい原賠制度2013年度版』

 シリーズ「あなたに知ってもらいたい原賠制度」のコンテンツは、あなたの声を生かして作ってまいります。まずは、原子力損害の賠償についてあなたの疑問や関心をEメールで genbai@jaif.or.jp へお寄せ下さい。

お問い合わせ先:地域交流部 TEL:03-6256-9314(直通)

原子力損害賠償法バックナンバー一覧へ戻る