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IAEA、様々なSMRの経済性評価で3年計画の協働研究 開始

2020年3月30日

国際原子力機関(IAEA)は3月25日、超小型炉を含む小型モジュール炉(SMR)の経済性評価に特化した3年計画の協働研究プロジェクト(CRP)を開始すると発表した。現在世界中で開発されている様々なコンセプトのSMR(約50設計)を実際に建設する際、必要となる経済性評価の枠組みや背景情報を加盟各国に提供することが目的。参加希望者は4月30日までに、研究契約や協定書の案をIAEAの研究契約管理部に提出するよう義務付けられている。

IAEAが定義するSMRはモジュール毎の電気出力が最大30万kWであり、一部のものは予め製造したシステムや機器類を工場で組み立てるなどして建設コストや工期を削減。その安全性や設置方法、利用分野などで様々な設計が存在し、近年これらへの関心は急速に高まっている。
また、新しい世代の原子炉は従来の100万kW級原子炉と比べて設計がコンパクトであり、千kW規模の超小型炉ならトラックや鉄道、船舶、航空機で容易に輸送することが可能。送電網の規模が小さい地域や遠隔地域にも信頼性の高い熱電供給を実現できるほか、出力が変化しやすい再生可能エネルギーや様々なエネルギー貯蔵システムに対応する進化型の送電網に、発電設備系統連系(アンシラリー)サービスを提供することも可能だとした。
 
IAEAの認識では、現在開発中のSMR技術の成熟度はそれぞれ異なっており、建設に際してコストや納期を適切に評価・分析し、合理化する必要がある。市場のニーズに応えるにはSMR用のビジネスモデルを構築しなければならず、市場そのものについても、機器の需要や産業支援サービスが維持されるような規模の大きさが求められる。SMRの開発と建設にともなう経済面の効果を数値化し、社会的支援が得られるよう伝えていく必要があるとした。
このためIAEAは今回のCRPで、①採用されている技術の成熟度の違い、②採用技術の詳細、③各設計コンセプトの潜在的なユーザー、および付随するリスク特性と収益への道筋――に集中的に取り組む方針。CPR参加者は以下の分野の調査を通じて、SMR開発プロジェクトの経済的評価に資する系統的アプローチを共同で開発することになる。調査分野とはすなわち、SMRの市場、SMRと非原子力による代替選択肢間の競争力分析、価値の高いプロジェクトの提案とその戦略的位置づけ、プロジェクト全体の企画経費予測と分析、プロジェクトの構成とリスク配分および財政評価額、経営計画とビジネス事例の実証、経済的な費用便益の分析-—など。
評価の枠組みが完成した後は特に、SMRの量産に関する経済性評価に適用される予定で、既存の工場で量産する際の条件設定や、サプライ・チェーンを現地化する機会や影響の評価に使われる。

(参照資料:IAEAの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの3月26日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

https://www.iaea.org/newscenter/news/new-crp-economic-appraisal-of-small-modular-reactor-smr-projects-methodologies-and-applications-i12007

https://www.jaif.or.jp/journal/oversea/2374.html