「原子力人材育成ネットワーク」報告会、地域拠点や新興国とも意見交換
原子力人材育成・確保に向けて産学官が相互協力を図る「原子力人材育成ネットワーク」の平成28年度報告会が2月13日、都内で開催されました。当協会は日本原子力研究開発機構とともに事務局を務めています。
冒頭、ネットワーク運営委員長である高橋明男当協会理事長が挨拶し、原子力発電や廃止措置等を的確に進めていくための幅広い分野の人材の必要性や、新規導入国から日本の原子力技術や人材育成支援への期待について述べ、ネットワーク活動への引き続き積極的な参画について出席した国内外の人材育成関係者に訴えました。
その後、組織横断的な活動や課題について検討する5つの分科会(初等中等教育支援、高等教育、実務段階人材育成、国内人材国際化、海外人材育成)から報告があり、昨夏に東京と福井で行われた「JAPAN-IAEA原子力エネルギーマネジメントスクール」、今年度新たに立ち上げた「海外原子力発電所実務者向け6週間研修コース」の成果等が紹介されました。また、同ネットワークが作成したロードマップに基づき、原子力人材育成の戦略的推進の司令塔となる「中核的恒常機関」について検討するため事務局が行った欧州現地調査や、IAEA技術研修員の日本受け入れ斡旋についても紹介されました。
原子力委員会の岡芳明委員長は、現在検討を進めている「基本的考え方」について述べ、その中で重点課題としている原子力人材育成の新展開として、欧米の研修資料やグッドプラクティスも参考にしながら、マニュアルや研修資料の作成や継続的な研修・公衆活動を重視した積み上げ型の活動に期待すると語りました。
また、高谷浩樹文部科学省研究開発局研究開発戦略官は、2016年8月に原子力人材育成作業部会が中間とりまとめを行ったのに続き、2017年1月に原子力研究開発基盤作業部会を設置し、基礎基盤研究・人材育成等に関する施設について専門家による議論を開始したこと等を報告しました。
続いて、中原廣道経済産業省原子力国際協力推進室長は、電力システム改革の貫徹や高速炉開発方針の検討・策定など最近の主な原子力政策の動向について紹介するとともに、人材関連では、総合資源エネルギー調査会の自主的安全性向上に関するワーキンググループが取りまとめた「軽水炉安全技術・人材ロードマップ」の取組状況について報告しました。
地域拠点としては、八戸良城青森県エネルギー総合対策局長が2017年10月に開設予定の青森県原子力人材育成研究開発拠点施設等について、北端琢也若狭湾エネルギー研究センター福井県国際原子力人材育成センター長が国内外の研修生の受け入れ等について、それぞれの原子力人材育成の取り組みを説明しました。
さらに、海外からは、トルコ、マレーシア、ポーランドの原子力担当者が、それぞれの国における原子力人材育成の現状を語り、活発な意見交換が行われました。
*当日の発表資料は、原子力人材育成ネットワークホームページ(http://jn-hrd-n.jaea.go.jp/)でご覧いただけます。
お問い合わせ先:人材育成部 TEL:03-6256-9315(直通)