放射性炭素専用AMS装置とタンデム加速器の見学会を開催しました。

2018年7月24日

AMS装置(加速器)の説明を受ける参加者

 量子放射線利用普及連絡協議会では、6月29日(金)に第27回会合として、東京大学総合研究博物館の放射性炭素専用AMS装置と、タンデム加速器の見学会を開催しました。
 2015年3月に同博物館に導入された放射性炭素14専用加速器AMS装置を使って、従来の方法では測定が難しかったごくわずかな割合(約1兆個に1つ)しか含まれない炭素14を、効率よく測定することができます。炭素14年代測定法は、放射性同位体炭素14の半減期が5,730年である性質を利用し、試料中の炭素14の存在比から年代を決定する手法です。生物を構成する必須元素の一つである炭素の同位体を用いるため、主に生物を起源とした物質の年代決定に利用されています。また、およそ5万年前までが適用可能ということから、人類学、考古学、歴史学などの分野にも多く利用されているほか、環境分野での自然トレーサーなどとしても注目されています。
 タンデム加速器は、20世紀半ばまでは第一線の原子核物理学のための実験装置として用いられてきましたが、より高エネルギーへの加速が求められるようになり、利用は限定的になってきました。一方で、発生電圧が安定しており、大電流の直流イオンビームを発生することができることから、高感度な分析装置としての利用が盛んになっています。
 本見学会では、炭素14年代測定と加速器質量分析(AMS)法の活用について、東京大学総合研究博物館の松﨑浩之教授に講演いただきました。そして博物館内の年代測定装置展示では、特別に展示ガラスの中に入って加速器を見学させていただき、間近に装置を見ることができました。また、5メガボルトを発生するタンデム加速器も見学しました。
 今回の見学会は協議会メンバーの他、関係企業、機関の方々にご参加いただき、「丁寧な説明で年代測定の仕組みを学ぶことができた」と大変好評でした。原産協会では、今後も放射線利用の理解促進に繋がる情報を提供してまいります。

【量子放射線利用普及連絡協議会とは】
放射線利用について関係者が問題意識、情報を共有し、協力、協働してそれぞれが戦略的に事業に取組み、より効果的に普及活動を展開させることを目的に2006年に設置されました。構成員は放射線照射企業、各地域組織、教育関係者等です。

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