原産協会は第59回通常総会を開催しました

2009年6月23日

 日本原子力産業協会は、6月17日、日本工業倶楽部で第59回通常総会を開催しました。平成20年度事業報告・収支決算案、平成21年度事業計画・収支予算案の承認に加え、各社の役員異動に伴い、新たに理事4名が選任されました。

 新任の理事には、五十嵐安治・東芝執行役常務電力システム社社長、澤明・三菱重工業取締役執行役員原子力事業本部長、中村満義・日本土木工業協会会長が選任されました。なお、現理事の井上裕氏は、三菱原子燃料代表取締役社長として引き続き理事として選任されました。

 総会の冒頭、今井敬会長(=写真下)は、麻生首相が6月10日に、わが国の2020年の温室効果ガス排出量を2005年に比べ15%削減する、との中期目標を発表したことについて、「この数値は、わが国産業界にとってたいへん厳しいものである」とした上で、「この目標を達成するためには、新規原子力発電所の9基建設と、現在の53基の稼働率を60%から80%に引き上げることが、前提となっている。これが達成されなかった場合には、この負担をどこがするかが、これからの問題である」と強調しました。

 また、「原子力発電が地球温暖化防止とエネルギー安定供給のために非常に有効であるという認識が、世界的にますます定着しつつある」と述べるとともに、「我が国は、原子力開発計画を継続的に進め、高い技術力を蓄積してきた。この高い技術力を持って、官民協力のもとに世界に貢献すべき」と指摘しました。

 当協会が今年3月、原子力発電の新規導入国からの協力要請に応えるため、関係機関の支援により設立した、一般財団法人「原子力国際協力センター」について、「わが国の国際協力を、効果的かつ効率的に行うための中核組織として、関係機関と連携し、相手国のニーズを踏まえた、幅広い協力を柔軟に行っていく」と強調しました。
 
 わが国が率先して低炭素社会を構築していくため、既設の原子力発電所を最大限の活用や、安全・安定運転の継続や長期サイクル運転などを通じ、発電電力量に占める原子力発電の比率を、一層向上させること、新規の原子力発電所の建設やリプレースの準備にも、積極的に取り組むことの必要性を指摘しました。

 さらに、柏崎刈羽原子力発電所7号機が、地元の了解を得て試験運転を開始し、間もなく営業運転を再開する運びとなったことを受け、「残りの6基につきましても、必要な設備の点検、調査や耐震安全性向上のための対応策を講じ、地元の皆様のご理解を得て、早期に運転が再開されることが望まれる」と述べました。

 総会にはまた、来賓として、山内俊夫・文部科学副大臣、吉川貴盛・経済産業副大臣が臨席されました。

 山内副大臣は、「わが国が積極的に原子力利用を進めていくためには、基幹電源として骨太にこれを推進するとともに、一方で、核燃料サイクルの確立に向けた取組や高レベル放射性廃棄物の処分、さらには、これを支える優秀な人材の育成といった重要課題についても、産学官が一体となって取り組んでいく必要がある。」と指摘しました。

 また、吉川副大臣は、「世界的なエネルギー安全保障や地球温暖化問題への関心の高まりから、まさに「原子力ルネサンス」ともいうべき原子力発電の導入および推進に向けた大きな流れが、加速しており、『原子力冬の時代』にも原子力発電所の建設を着実に進めてきたわが国の優れた原子力人材や産業が、エネルギー需給のひっ迫や地球温暖化などのグローバルな課題の解決に貢献していく絶好の機会である。」と強調しました。

原産協会は第59回通常総会を開催しました