東アジア原子力発電フォーラムの開催(2013.4.26)

 当協会は、これまで、中国、韓国、台湾の原産協会・原産会議や学会と協力覚書を結び、定期セミナー等による情報交換・交流を中心に協力を行ってきましたが、これまでの2国間の情報交換の場を東アジア地域の多国間の場に広げ、情報交換をより効果的に行うため、4月26日に「東アジア原子力発電フォーラム」を開催しました。これは当協会としては初めての取組みです。

 原子力発電が盛んに開発・利用されている東アジア地域(中国、日本、韓国、台湾)は、今後とも世界の原子力発電の成長センターとなることが予想されています。
 2011年3月の福島第一原子力発電所事故は、アジア地域をはじめとする世界の原子力発電の未来に陰を投げかけ、日本はもとより、中国、韓国、台湾などでも、原子力・エネルギー政策をはじめ、運転、建設、計画中の原子力発電所に関して、監視の強化や計画の変更等、大きな影響を及ぼしました。
 これに対して東アジア地域の原子力産業界は、今後とも情報交換・交流を密にして、安全性の向上等で協力を進めていく必要があります。

 同フォーラムでは、「福島事故後の原子力安全」を主要テーマに、福島事故を契機に原子力安全に対する考え方の変化、また、各国・地域における福島事故後の原子力をとりまく状況や、安全性向上のための取組み、技術等について、参加者間で情報共有と活発な意見交換を行いました。

0527asia13 冒頭、議長(当協会 服部理事長)が挨拶し(=写真)、被災地域再生・復興の加速と一日も早い避難者の帰宅、そして事故の教訓を世界と共有して原子力施設の安全性向上に役立てていくことが重要であり、日本の責務だと述べました。また、原子力発電開発が積極的に進められている東アジア地域の原子力産業界は、今後とも情報交換・交流を密にして認識を共有し、福島事故を踏まえた安全性向上の取り組みを相互に学び合うなど、連携・協力を一層深めて安全の確保を大前提に原子力の持続的発展という共通の目標達成のため、同じ地域の仲間として手を携えていこうと呼びかけました。

 意見交換の中では、日本で7月施行される原子力新規制基準に関する質問や、日本の原子力発電所の早期再稼働を期待する意見が寄せられました。また、各国・地域の原子力安全対策や緊急事態における措置の他、PA対策も関心事項であることがうかがえました。次回は来年4月、再度、日本での開催に向け、準備を進めることとなりました。

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フォーラムの会場風景

【ご参考】各国・地域参加者リスト

日本
服部拓也 日本原子力産業協会 理事長 【議長】
富岡義博 電気事業連合会 原子力部長 【発表者】
「安全性向上に向けた事業者の取り組みについて」
藤江孝夫 原子力安全推進協会 理事長 【発表者】
「原子力安全推進協会(JANSI)の設立と原子力施設の安全性向上に係る取り組みについて」
佐藤克哉 日本原子力産業協会 常務理事
韓国
李鍾振 韓国原子力産業会議 常勤会長
金炯澤 韓国水力原子力 中央研究院 重大事故解析グループ長【発表者】
「韓国における安全性向上の取り組み:福島事故後の韓国のアプローチ、フォローアップ措置」
閔庚業 韓国原子力産業会議 情報管理・国際協力部 副部長
台湾
許文都 台湾核能級産業発展協会 理事長
謝牧謙 台湾核能級産業発展協会 顧問
林德福 台湾電力公司 原子力発電部 部長
林正忠 台湾電力公司 原子力発電部 炉内燃料管理課 課長補左【発表者】
「台湾における原子力発電」
中国
雷梅芳 中国核能行業協会(CNEA) 国際協力部長【オブザーバー】

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