[諸外国における原子力発電開発の動向]
話題を追って (2002年1月中旬〜2月中旬)

米国:DOEの2003年度予算要求、過去最大に

DOE のエイブラハム長官は2月4日、2003会計年度 (2002年10月〜2003年9月) の予算要求を公表した。DOE 全体としての要求額は、前年度より5億8000万ドル (約774億円) 増の219億ドル (約2兆9200億円)。クリントン政権の最後の予算と比べると30億ドル (約4000億円) の増加で、DOE としては過去最大の要求額という。ブッシュ政権が昨年5月の発表した国家エネルギー政策の勧告に沿った内容になっているのが大きな特徴。

このうち、民生部門の原子力研究開発を担当する原子力科学技術局の要求額は2億5000万ドル (333億5000万円) で、2002年度歳出額 (2億9000万ドル) より減少しているが、民間企業との協力のもと2010年までに新規の原子力発電所を完成させることをめざした「Nuclear Power 2010」計画の本格スタートなど、重要なプロジェクトに予算が重点的に配分される形になっている。

この計画以外では、2010年から2030年にかけて市場に投入することをねらった第4世代原子力システム・プロジェクトには、前年度のほぼ倍に相当する800万ドル (約10億円) が要求されている。第4世代プロジェクトは、2000年10月に「第4世代技術ロードマップ」の作成作業がスタート。最終案が今年9月にもまとめられ、来年はじめに公表されることになっている。このロードマップでは、6〜8種類の最も有望な原子力システムが明らかにされることになっており、これをもとに第4世代コンセプトの実現に向けた研究開発がスタートする。

1999年度にスタートした原子力研究イニシアチブ (NERI) は、国内版 NERI と国際版の International Nuclear Energy Research Initiative: I-NERI に分かれている。I-NERI は、コスト分担も含め、各国との協力のもと次世代原子力システムを開発しようというもので、2001年度にスタートした。2003年度の予算要求額は、NERI が1606万ドル (約21億円)、I-NERI が828万ドル (約11億円)。NERI は前年度 (2336万ドル) より減少しているが、これは2003年度には新規プロジェクトがスタートしないため。

原子力工学教育支援については、前年度歳出額と同額の1750万ドル (約23億円) が要求されている。具体的には、大学の研究炉の保守・改良、新燃料の供給、研究炉の使用済み燃料輸送などの支援に800万ドル (約10億円) が計上されている。2003年度には、MIT やカンザス州立大学、ミズーリ大学、ミシガン大学、カリフォルニア大学、ユタ大学に新燃料が供給されるほか、研究炉を所有しない大学に対しては、訓練や教育、研究などを目的として、他の大学の研究炉が利用できるように助成金が支給されることになっている。

このほか、先進的な核燃料サイクル技術の開発をめざして、使用済み燃料の Pyroprocessing (乾式再処理法の1つ) と核変換 (Transmutation) に関する研究開発に1800万ドル (約24億円) が要求されている。

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