[諸外国における原子力発電開発の動向]
最近の動き (2002年2月中旬〜3月中旬)

[中 国]

嶺澳1号機、送電開始

広東省にある嶺澳1号機(PWR、98万5,000kW)は2月26日、電力網に接続した後、送電を開始した。同機は2001年12月8日に燃料の初装荷が行われ、今年2月4日には初臨界を達成していた。同機は予定より48日早く送電を開始したため、営業運転開始も1ヵ月半繰り上げられ5月末か6月始めになり、年末までに32億kWhの発電を行う予定。また、同じサイトにある2号機の運転開始も2ヵ月早まって来年1月になるとみられている。

嶺澳発電所の建設プロジェクトは第9次5ヵ年計画(1996〜2000年)に組み込まれ、1号機は1997年5月、2号機は同12月にそれぞれ着工した。2基合わせた建設費は40億ドル。また、同サイトでは、第1期工事の2基のほかに、さらに2基の原子力発電所を建設する第2期工事も検討されているが、第10次同計画期(2001〜2005年)に着工されるかどうかは明らかにされていない。

[韓 国]

原子力発電電力量1120億kWh、平均設備利用率は93.2%に

韓国原子力産業会議(KAIF)によると、2001年の原子力発電電力量が前年より30億kWh増の1,120億kWh、平均設備利用率は前年より2.75%上昇し93.2%を記録した。なお、総発電電力量に占める原子力の割合は、前年より1.6ポイント減の39.3%となった。

韓国では現在、霊光、古里、蔚珍、月城などの4サイトに16基の原子力発電所が稼働しており、発電設備容量は合計1,371万6000kW。建設中の原子力発電所は、今年4月と12月に運転開始が予定されている霊光5、6号機、2004年6月と2005年6月に運転開始が予定されている蔚珍5、6号機の計4基。

現行の原子力開発長期計画では、2008~2014年までに新たに8基の原子力発電所を増設する一方で、古里1号機と月城1号機を2008年と2013年にそれぞれ閉鎖することになっているため、2014年時点では26基となる。

[米 国]

フォートカールホーン、運転認可の20年延長を申請

オマハ公営電力(OPPD)が1月にフォートカルホーン原子力発電所(PWR、50万2,000kW)の運転認可の20年延長を米原子力規制委員会(NRC)に申請したことがこのほど明らかになった。OPPDは、NRCの承認は2003年頃になるとみている。

NRCから承認されれば、フォートカルホーン発電所は2033年まで運転することが可能となる。同発電所は1968年6月に着工し、1973年9月に営業運転を開始している。

ブランズウィック1号機、連続運転で世界新記録

カロライナ・パワー&ライト(CP&L)社は、ブランズウィック1号機(BWR、89万5,000kW)が707日間の連続運転を達成し、軽水炉の世界新記録を樹立したと発表した。

同機は3月1日に燃料交換のために運転を停止したが、1999年にスリーマイル・アイランド1号機(PWR、87万2,000kW)が記録した668日間を1ヵ月以上も更新した。軽水炉以外の発電炉の最長連続運転記録としては、カナダのピッカリングB原子力発電所7号機(CANDU、54万kW)が894日の記録を持っているが、CANDU炉は運転中でも燃料交換ができるという特徴がある。

ブラウンズウィック1号機は運転停止中に15%の出力増強を行う計画で、高出力タービン1基や給水加熱器2基、給水ポンプ・タービンなどを設置する。また、1号機につづいて、2号機でも出力増強工事を予定している。CP&L社は同1、2号機の運転認可の20年延長をNRCに申請する計画も持っている。

ブラウンズウィック発電所の2001年の発電電力量は両機合わせて138億4,354万7,000kWhで、1号機は過去最高となる73億312万1,000kWhを発電した。

ミルストン2、3号機、運転認可の更新へ

ドミニオン社は、ミルストン2、3号機(PWR、2号機=89万5,000kW、3号機=120万9,000kW)の運転認可の20年延長を2004年に米原子力規制委員会(NRC)に申請する予定であることを明らかにした。NRCから承認された場合、同2号機が2035年、同3号機が2045年まで運転することができる。2、3号機とも、2001年3月にノースイースト・ユーティリティーズ(NU)社からドミニオン社が買収した。なお、1号機(BWR、68万9,000kW)は1998年7月から廃炉措置中。

ドミニオン社は、ミルストン2、3号機の運転認可延長の理由について、同2号機が2001年の平均設備利用率で世界のトップ50に入ったことなどから、今後長期間にわたり安定した収益を見込めると判断したためと説明している。

なお、ドミニオン社はミルストン2、3号機のほかに、ノースアナ1、2号機(PWR、1号機=94万kW、2号機=94万4,000kW)とサリー1、2号機(PWR、各84万kW)を所有している。

上院がプライス・アンダーソン法延長を承認

米上院は3月7日、包括的エネルギー法案である「2001年国立研究所協力改善法」(National Laboratories Partnership Improvement Act of 2001: S517)にプライス・アンダーソン(原子力損害賠償)法の10年間の延長を盛り込むことを78対21の賛成多数で可決した。共和党は3名を除いた全員が、また民主党も3分の2の議員が賛成に回った。

下院は昨年11月に同法の15年間の延長を承認している。今後、両院協議会で延長期間の一本化について調整が行なわれる。

原子力発電所立地手続きを官民で実証へ

エネルギー省(DOE)のエイブラハム長官は3月4日、原子力発電所の新しい許認可手続きの実証を目的として、立地地点の選定ならびに原子力規制委員会(NRC)への申請を官民協力で行なうと発表した。2010年までに新規原子力発電所を運転開始することを目指した「Nuclear Power 2010」計画の一環。

米国の原子力発電所は近年、優れた運転実績を達成し、その資産価値が高く評価されるまでになった。米国最大の原子力発電事業者のエクセロン社をはじめとして、一部に新規原子力発電所の建設計画が浮上してきているが具体化するまでにはなっていない。こうした中で、昨年5月に公表されたブッシュ政権の国家エネルギー政策では原子力発電の重要性が盛り込まれた。このため、DOEが音頭をとって産業界との協力のもと、とりあえず2010年までに1基だけでも原子力発電所を建設しようというのが「Nuclear Power 2010」計画。

米国では実質的に1974年から新規の原子力発電所の発注がないが、以前と大きく異なるのは、許認可手続きが変わった点。NECの新しい規則である10CFRパート52は、「原子炉の設計認証」「事前サイト許可」「建設・運転一体認可」などで構成されており、従来の手続きに比べて大幅に合理化されている。このうち、事前サイト許可は、原子力発電所の建設候補地として事前にサイトだけ許可するというもの。これによって、地質や地震、水文、環境といった立地に関係したすべての問題が原子力発電所を着工する前にすべて解決されるだけでなく、その有効期間が10〜20年もあるため、電力会社としては原子力発電所の建設に柔軟に対応できる。

新しい規則が制定されて以来、ABWR、システム80+、AP600型炉が設計認証を取得しているが、実際にこの手続きを使って建設された原子力発電所はまだない。このためDOEは、当面の最大の課題が「事前の建設許可」を実証することにあるとの判断から、昨年秋、とりあえず新規の原子力発電所の候補地となりそうなサイトの評価に乗り出した。具体的には、産業界が最低でも半額を負担することを前提に、DOE側が70万ドルを提供して事前のサイト許可手続きを実施する上でどのような活動が必要かを明らかにする計画に参加するよう公募方式をとって産業界に要請した。DOEが事前サイト許可実証プロジェクトの第一弾として位置付けているこの計画には、エクセロン社とドミニオン・リソーシーズ社の参加が決まった。

今回、エイブラハム長官が発表した実証プロジェクトはその第二弾で、サイトを具体的に特定してNRCに正式な申請を行なうことまで含まれる。プロジェクトの進め方は前回と同じく、産業界に対して公募方式で参加を要請し、コストを分担して実施する。DOEはこのために2002年度予算で300万ドルを計上している。プロジェクトの実施期間は4年内の予定。公募の締め切りは4月15日となっている。

[カナダ]

連邦議会下院、使用済み燃料法案を承認

カナダ連邦議会下院は2月26日、使用済み燃料法案を可決した。法案は2001年4月にグッデール連邦天然資源相によって提出されたもので、発生者ならびに所有者による、使用済み燃料の長期的管理を目的とした非営利の「廃棄物管理機構」(WMO)の設立などを盛り込んでいる。なお、法案は今後上院に付託され、審議されることになる。

法案によれば、WMOは使用済み燃料の長期間管理に向けた経営、財政、運用面での活動を行う非営利組織で、設立後3年以内に戦略を策定することになる。具体的には、@深地層処分、A各原子力発電所サイトでの貯蔵、B地表または浅地層での集中貯蔵――の3種類の中から最適な方法を提案し、連邦政府の承認を経て、WMOが実行する。WMOの事業活動については、諮問委員会による審査が行われ、連邦天然資源相に定期的に報告される。この活動報告は大臣によるステートメントとともに一般にも公表される。

法案はまた、使用済み燃料の発生者および所有者であるカナダ原子力公社(AECL)と原子力発電所を所有する電気事業者3社に対して、使用済み燃料の管理・処分のための信託資金を設立することを定めている。AECLならびに原子力発電所運転者は毎年、この信託基金への支払を行うほか、法案成立後10日以内に初回分として、オンタリオ・パワー・ジェネレーション(OPG)社が5億カナダドル、ハイドロ・ケベック社およびニューブラウンズウィック・パワー社がそれぞれ2,000万カナダドル、AECLが1,000万カナダドルを支払うことになっている。

なお、OPG社とのリース契約にしたがいブルース発電所(A1〜4号機:CANDU、各90.4万kW:休止中、B5〜8号機:CANDU、各84万kW:運転中)を運転しているブルース・パワー社については、使用済み燃料、廃棄物管理、廃炉措置に関する責任が、発電所の所有者であるOPG社に帰属しているため、信託基金への支払義務はない。

連邦政府は1996年、使用済み燃料を含むすべての放射性廃棄物の処分に対する基本原則となる政策の枠組を決定。廃棄物の処分に関する施設については、廃棄物の発生者と所有者が、資金の拠出、組織運営、管理、操業に対する責任を負うことを決めている。

このうち使用済み燃料の処分については、1988年に連邦政府が設置した検討委員会(委員長の名前をとって「シーボーン委員会」と呼ばれる)によって、処分サイトを特定しな形で地層処分についての一般的な安全評価が行われた。委員会は、AECLの研究をもとに、使用済み燃料を耐腐食性のコンテナに密閉して、カナダ楯状地の地下500〜1,000m地点の深成岩をくりぬいた空間(貯蔵室)に埋設するとする深地層処分案をまとめ、1991年に環境影響評価書を発表した。

7年間に及ぶ環境影響評価書のパブリック・レビューを完了した検討委員会は1998年3月、連邦政府に対して放射性廃棄物管理処分方針環境評価報告書を提出。深地層処分は科学的には受け入れられるが、カナダ国民はこの考えには賛同していないとして、処分計画の仕切り直しを勧告した。

この報告書への答申として、連邦政府は同年12月、@使用済み燃料の所有者や発生者が独立した組織として廃棄物管理機構を設立すること、A廃棄物管理機構は国内の使用済み燃料所有者および発生者の代表者で組織する独自の取締役会を設置し、諮問委員会を併設すること、B使用済み燃料所有者および発生者は廃棄物管理機構の活動資金のために信託基金を設置すること、C廃棄物管理機構は放射性廃棄物の長期管理方法を作成し連邦政府に報告すること――を勧告。新たな処分計画策定に向けた枠組の整備に着手した。

2001年の発電実績

カナダの2001年の原子力発電電力量は774億9,000万kWhで、前年の737億7,000万kWhより5%の増加となった。また、総発電電力量に占める原子力の割合は前年比0.5ポイント減の13%。平均稼働率は4.1ポイント増の81%であった。

[英 国]

BEとBNFLが共同でAP1000型炉の実行可能性評価へ

英ブリティッシュ・エナジー社(BE)と原子燃料会社(BNFL)は2月26日、ウェスチングハウス社製AP1000型炉の実行可能性を評価することを内容とした協定を締結した。これは昨年10月にBEがカナダ原子力公社(AECL)とCANDU-NG型炉をめぐって交わした協定とほぼ同じ内容となっている。

BE社は昨年9月11日、今後25年以内に10基程度の原子力発電所を新設することを念頭に政府に要望書を提出した。この中で同社は新規原子炉として、低コストで建設期間が短いウェスチングハウス社のAP1000型炉、カナダのCANDU-NG型炉などの炉型を候補として挙げていた。

政府科学顧問、原子力発電所建設計画の再開を提言

政府科学顧問のD.キング教授は3月7日、原子力オプションの堅持を提言するにとどまった内閣府による報告書を批判した。

キング教授は、原子力発電を二酸化炭素を排出しない電源と位置付けた上で、「英国の4分の1のエネルギーを供給している原子力発電所が老朽化にともなって閉鎖された場合、二酸化炭素排出量削減目標の達成は難しくなる」と指摘。原子力発電所が新規に建設されなければ化石燃料への依存体質は変わらないため、少なくても再生可能エネルギーが主流となるまでは原子力に依存する必要がある、との見解を示した。

さらにキング教授は、原子力発電開発を着実に進めていくためには、放射性廃棄物の国民的理解を進めていく必要があると語った。

[フランス]

原子力安全機関が設立

フランスの原子力安全組織を再編するための2つの政令が2月13日に閣僚会議から承認を得られたことにより、同26日に公布された。ひとつは、原子力安全規制を担う原子力施設安全局(DSIN)と保健省傘下の放射線防護局(OPRI)の規制部門を統合して新設される「原子力安全・放射線防護総局(DGSNR)」の設置にかかわる政令。もうひとつは、放射線防護局(OPRI)と原子力安全防護研究所(IPSN)を統合して設立されていた「放射線防護・原子力安全研究所(IRSN)」の役割と業務を明確にした政令。これにより、ジョスパン首相の肝いりで98年に着手された原子力安全規制体制の再構築がようやく完了したことになる。

DGSNRは、DSINを管轄していた産業省と環境省に加え、OPRIの監督官庁だった保健省の監督下に置かれる。DGSNRの初代総局長には同27日、DSINのラコステ局長が任命された。IRSNは、すでに2001年5月に発足していたが、今回の政令によって具体的な所管や運営が明確になった。所管官庁は環境、産業、保健、研究および国防の5省。主な業務は、DGSNRが行う各種評価作業の技術面での支援に加え、公衆や放射線作業従事者の放射線防護。IPSNのクニアール前副所長が理事長代行に就任した。

ジョスパン首相は98年、情報公開を推進するため安全規制体制を再構築するとともに、各省にまたがる放射線防護分野の監視体制を強化するため、安全規制と放射線防護体制の抜本的な改革を行う方針を打ち出した。しかし、当初めざしていた独立した行政組織への一本化は参事院が99年、違憲とする勧告を下したため法改正が中断した。最終的には、原子力と放射線防護の両方をカバーする規制当局と両方の行政を技術支援する研究機関の新設に落ち着いた。

[ドイツ]

ブルンスビュッテル発電所、冷却系配管破断により計画外停止へ

ブルンスビュッテル原子力発電所(BWR、80万6000kW)は昨年12月14日に起こった炉心スプレー系配管での放射性蒸気漏れの原因究明のため、2002年2月18日に出力を低下させて技術検査協会(TUV)の立ち会いのもと検査を行った。その結果、配管に破断が認められ、配管内部で水素爆発が起こった可能性もあることから、同機は運転を停止して、原因究明と対応策を講じることになった。配管破断によるサイト内外への放射線漏れなどの影響はなく、国際原子力事象評価尺度(INES)ではレベル1と判定された。

連邦環境・原子炉安全省(BMU)のトリッティン大臣は、同発電所を所有しているハンブルク電力(HEW)に対して州当局への報告が遅れた上、その後も運転を継続し原因の究明を怠ったとして管理責任を厳しく追及する構えを見せている。同相は、同発電所の運転再開にあたっては、配管損傷の原因を完全に明らかにし損傷部分を修理するとともに、運転者であるブルンスビュッテル原子力発電会社(KKB)の信頼性を調査することを求めている。同発電所があるドイツ北部のシュレスビヒ・ホルシュタイン州は、連邦政府と同じく社会民主党(SPD)と緑の党が連立政権を握っている。

改正原子力法では、運転中の原子力発電所は発電電力量が制限される一方、その間の運転期間中は連邦政府が運転継続を妨害しないという保証が与えられた。しかし、緑の党のトリッティン大臣は、今秋の総選挙にむけて原子力の安全性を厳しく取り締まる姿勢を強めている。昨秋にも、フィリップスブルク2号機で冷却タンク内のホウ素濃度が規定値を外れたまま運転を続けた問題で、同相は同機を所有・運転するエネルギーバーテンビュルテンベルク社(EnBW)の管理体制を厳しく非難。同社は、同発電所の運転を約70日間、停止させて原因を調査し、責任者とされる幹部数名を解雇するなどの対策を講じた。

[スウェーデン]

オスカーシャム、最終処分場の地質調査受け入れを決定

オスカーシャムの地元議会は3月11日、オスカーシャム地区での最終処分場の地質調査受け入れを49対1で承認した。

環境省が2001年11月1日、使用済み燃料最終処分場候補地3地点(オスカーシャム、エスタマル、ティエルプ)での詳細な地質調査実施を許可したのを受け、スウェーデン核燃料廃棄物管理会社(SKB)が地質調査実施を3地点の各自治体に正式に申請。2001年12月にはエスタマルが他の2地点に先駆けて調査受け入れを表明。今回オスカーシャムが調査受け入れを表明したことで、SKBは2地点での地質調査が可能となった。

オスカーシャムでの実行可能性調査は2000年に完了しており、「オスカーシャム近郊の岩盤は安全な深地層処分場の建設に適している可能性がある」との結果が出ている。今後SKBが5〜6年かけて実施する地質調査では、ボーリング調査や関連調査を行い、さらに詳細な地質データを収集する予定。

地質調査の受け入れは、最終処分場自体の受け入れを意味するものではない。SKBは処分場の選定において技術的な実行可能性だけでなく、地元住民から支持が得られたことを処分場立地の前提にすると強調している。SKBはこれまでも「地元住民の支持がない限り最終処分場の立地には着手しない」と明言しており、過去にも住民投票で否決された建設予定地(ストゥールマン、マロ)が候補地から外された経緯がある。

SKBは2007年までに最終処分場の建設認可申請を行う予定で、2009年頃に政府の最終決定が出される見込みである。

[ブルガリア]

議会、コズロドイ3,4号機の閉鎖時期延長を審議へ

ブルガリア議会のエネルギー委員会のメンバーはこのほど、コズロドイ発電所を視察し、3,4号機の閉鎖期限延長問題を年内に審議することを明らかにした。

ブルガリア政府と欧州委員会(EC)は99年11月30日、ブルガリアのEU加盟への条件としてコズロドイ1-4号機の閉鎖で基本合意。1,2号機については2002年末までに閉鎖で合意したものの、3,4号機の閉鎖時期については意見が割れ、ブルガリア側は2002年時点で決定するとの見解を示した。これに対しEC側は3,4号機ともに2006年の閉鎖を提案していた。

しかしブルガリア国内では、現行のエネルギー政策で定められた3,4号機の閉鎖期限である2010年まで3,4号機の運転を継続させる声が高まっている。2月にコズロドイ発電所を視察したS.サクスコーブルゴツキ首相も、3,4号機の閉鎖時期は国益に基づいて判断するとの考えを表明した。

2000年10月に発表された西欧原子力規制当局連合(WENRA)の報告書は、コズロドイ1-4号機は「1次系配管での漏洩事故に対する十分な安全対策が施されていない」と指摘。安全性の改善は極めて困難として早期閉鎖を勧告した。

ブルガリア唯一の原子力発電所であるコズロドイ発電所は6基で構成。1〜4号機はVVER-440型炉(旧ソ連型PWR、出力44万kW)の中でも旧式に属するV-230タイプが採用されている。また5,6号機は比較的新しいVVER-1000型炉(同、出力100万kW)を採用している。2001年の原子力発電電力量は196億kWh(前年比14億kWh増)で、原子力シェアは44.6%だった。

[ロシア]

海外からの使用済み燃料受入れを審査する委員会設置法案が下院通過

連邦議会下院(デューマ)は3月6日、海外の使用済み燃料の国内への持込みについて具体的に審査する特別委員会の設置に関する法案の第三読会を開催し、可決した。同委員会は、法案の上院での可決、大統領の署名を経て発足する。

法案は、原子力法第64条に「海外製照射済み燃料要素のロシア連邦領内への輸入に関する特別委員会」設置に関する条文を追加するというもの。海外からの使用済み燃料のロシアへの持込みに際しては、この特別委員会の許可が必要になる。委員会は大統領令によって規定された業務・権限のもとで、使用済み燃料の輸入の可否を審査するほか、輸入状況についての報告書を毎年、大統領に提出する。

委員会は委員長と20名の委員からなり、委員の構成は、大統領が指名する5名、連邦議会下院議員5名、同上院議員5名、内閣メンバー5名。上下両院の委員候補者の選出手続きはそれぞれ個別に両院が決める。また、委員長には、ロシア科学アカデミー副会長でノーベル賞受賞者のZ.アルフェロフ下院議員が指名された。

92年に制定された環境保護法第50条は、中間貯蔵および処分を目的とした外国(旧ソ連製原子炉が使われている国を除く)からの放射性廃棄物や放射性物質の国内への持ち込みを禁じているため、ロシアでは外国の使用済み燃料の商業再処理ができなかった。

ロシア原子力省(MINATOM)は99年秋、外国からの使用済み燃料の商業再処理・中間貯蔵受託を目的とした関連3法案を下院に提出。法案では、使用済み燃料とその他の廃棄物を法的に区別し、国際的な安全基準が満たされていることを条件に、ロシア政府の同意のもとで、再処理ならびに中間貯蔵を目的としてロシア国内へ持ち込むことを認める一方で、放射性廃棄物の貯蔵と処分は引き続き禁止している。使用済み燃料ビジネスで得られた収入は、MINATOMの使途特定財源の特別会計に組み入れられ、ロシア国内の環境保護対策や燃料サイクル関連インフラの整備などに充当される。また、収入の25%は再処理や中間貯蔵を受け入れる施設がある自治体へ配分される。

法案は2001年6月6日に下院で、6月29日には上院(連邦評議会)でそれぞれ可決され、7月11日にプーチン大統領の署名を経て成立。大統領は法案成立と同時に、使用済み燃料の国内への持込みについて審査する特別委員会の設置を指示し、関連する法案を下院に提出した。(原産マンスリー2001年8月号参照)

レニングラード原子力発電所、ロスエネルゴアトム傘下へ

レニングラード原子力発電所(RBMK-1000、100万kW 4基)のレベデフ所長は3月中旬、同発電所を原子力発電運転会社ロスエネルゴアトム傘下の事業部門とする命令に署名した。ロシアでは原子力省(MINATOM)傘下のロスエネルゴアトムが、レニングラード発電所以外の9サイトの原子力発電所を運転している(管理権はMINATOMにある)が、レニングラード発電所だけがMINATOMによって運営されていた。

カシヤノフ首相は2001年9月10日、原子力発電所の建設・運転を担当しているロスエネルゴアトムに国内の原子力発電関連企業を統合して、原子力発電単一企業体に再編する政令に署名。ロスエネルゴアトムはすでに運転を行っている原子力発電所9サイトの管理権と、レニングラード発電所の運転・管理権をMINATOMから移管され、連邦政府直轄の組織に改組されることが決まっている。

また、ロスエネルゴアトムは原子力発電所建設や運転に関係する企業群も傘下に収めることになる。(原産マンスリー2001年10月号参照)

政府、2002年の電力投資計画を承認

貿易経済省のサロノフ副大臣は2月28日、政府が総額1,020億ルーブル(約3億2,800万米ドル)からなる2002年の電力分野への投資計画を承認したことを明らかにした。

主な投資先と金額は、ロシア統一エネルギー機構(RAO OES Russia)へ167億ルーブル、地方電力会社へ430億ルーブル、原子力関連部門へ198億ルーブルなどとなっている。

[ウクライナ]

ロシアと核燃料供給などで新契約

ロシアのルミャンツェフ原子力相とウクライナのハイドゥク燃料エネルギー相は2月下旬、ロシアによるウクライナの原子力発電所への燃料供給契約の更新を含む、原子力協力議定書に署名した。

議定書は原子力平和利用分野の両国間の協力を定めたもので、ウクライナで運転中の13基の旧ソ連製原子力発電所へのロシアによる新燃料供給と、ロシアによるウクライナの使用済み燃料の引取りが取り決められている。両国はすでに過去2年間に渡り、同様の取引を行ってきている。

2002年にウクライナに供給される燃料の総額は、2億4,600万米ドルの見込み。一方、使用済み燃料のロシアへの引き取りについては、1kg当り372.50米ドルと見積もられている。

ロシアが2原発完成に向け1億5,000万ドル融資へ

ロシア政府は2月下旬、ウクライナで建設中のフメルニツキ2号機 (VVER-1000=ロシア型PWR、100万kW) とロブノ4号機 (同) の原子力発電所2基を完成させるプロジェクト (K2/R4計画) に対し、2002年中に1億5,000万米ドルを融資することを決定した。両国間の原子力平和利用分野での協力議定書署名の後に明らかにされた。

また、ウクライナのルシキン燃料エネルギー省秘書官は3月中旬、同国の国営原子力発電会社エネルゴアトムがこの7月にも、ロシア政府との間で、K2/R4 計画への財政支援のための融資に関する合意文章に調印すると語った。合意文章は、今回の1億5,000万米ドルの融資だけでなく、2基の発電所の完成を視野に入れた長期的な立場の議論を踏まえたものになる。

1億5,000万米ドルには、政府融資のほか、ロシアの核燃料製造企業 TVEL が供給する機器や新燃料が含まれる。

ウクライナと欧州復興開発銀行 (EBRD) による協議が不調に終わり、西側が主導して進めて来た K2/R4 プロジェクトへの融資の枠組が白紙に戻されたのを受け、ウクライナとロシアは2001年12月、両国の協力により2基の発電所を完成させるための合意文章に調印。2002年春の作業開始を目指して、ロシア側は必要な予算措置を2002年度予算に計上していることを明らかにしていた。

両国では、2基の発電所完成に必要な資金を、EBRD の見積の3分の1にあたる約5億米ドルと見積もっている。(原産マンスリー2002年2月号参照)

イグナリナ発電所の技術者受入れを表明

ウクライナのキナク首相は、閉鎖が計画されているリトアニアのイグナリナ原子力発電所 (RBMK-1500、150万kW 2基) で働いている技術者を、ウクライナで建設が計画されている発電所で雇用することを表明した。

これは3月20日に行われたリトアニアとの政府間協議と首脳会談の後に開催された記者会見の席上で明らかにされたもの。キナク首相は、ウクライナによるイグナリナ発電所閉鎖への技術協力について言及したほか、同発電所が閉鎖された際には、そこで働いているトップレベルの専門技術者を、建設再開が計画されているフメルニツキ2号機 (VVER-1000、100万kW) とロブノ4号機 (同) で雇用することが可能であると強調した。

ウクライナとリトアニアは、2000年末に閉鎖され現在廃止措置が進められているチェルノブイリ発電所が、イグナリナ発電所と同じ旧ソ連製の軽水冷却黒鉛型炉 (RBMK) であることから、チェルノブイリの廃止措置にあたっている専門家を、閉鎖支援のためにイグナリナ発電所へ派遣する方向で調整を進めている。2001年初頭にはウクライナ側の調査団が、イグナリナ発電所の廃止措置とその関連分野での協力の可能性を探るために同発電所を訪問。その後、国際チェルノブイリセンター (ICC) のスラブチ国際研究所 (SLIRT) とイグナリナ発電所との間で、廃止措置の基本作業に関するエンジニアリングおよび技術面での継続的な支援についての了解覚書へ署名が行われている。(原産マンスリー2002年1月号参照)


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