第17回日独原子力専門家会合を開催


 当協会は、10月28日に、青森県弘前市で「第17回日独原子力専門家会合」を開催しました。

 この専門家会合は、日独両国の原子力関係者が、相互理解と協力を促進するとともに、両国および世界の原子力平和利用開発の円滑な推進に寄与することを目的として、1980(昭和55)年以来これまで16回にわたって日本とドイツで交互に開催してきたものです。

 今回の会合では、ドイツからマンフレッド・ポップ・カールスルーエ工科大学上級顧問が、また日本からは秋元勇巳 三菱マテリアル名誉顧問が共同議長を務め、服部拓也 当協会理事長をはじめとして政府、電力、メーカー、研究機関等からのハイレベル専門家、計24名が参加し、両国のエネルギー及び原子力政策・開発の現状、将来展望、燃料サイクルのバックエンドおよび耐震設計等について、情報・意見交換を行いました。

 ドイツでは、メルケル政権が、気候変動対策上原子力発電を抜きにしては考えられないとして原子力発電の寿命延長を平均12年延長しましたが、再生可能エネルギー重視の風潮が強く、2050年に全電力の八割を再生可能エネルギーでまかなうエネルギー戦略を策定しています。しかし、風力・太陽の再生可能エネルギーは出力変動が激しいため、出力を平準化させるために原子炉を負荷変動させていることなどが紹介されました。

 今回の会合では、高レベル廃棄物処分場立地について活発な議論が行われました。ドイツでは30年位前に政府が地質的に適切な場所(岩塩層)を選定し、ゴアレーベンに絞って調査を続けてきたこと、一方、日本では主として自治体による公募制に基づいてサイト選定を進めているなど、立地選定方式の違いが浮き彫りになりました。ポップ氏は、処分場問題は極めて政治的問題であると前置きした上で、「最終処分場を見つけることが、原子力理解の鍵である」と強調しました。


会合風景

日本原燃(株)での説明

 ドイツの専門家一行は翌29日、六ヶ所燃料サイクル施設を視察しました。

 この会合の成果は共同議長サマリーに取り纏められ、また、今後の日独協力については、1980年代の第1回会合から30年が経過し、日独の状況が大きく変化したことを踏まえて、双方に特に関心のある技術問題に絞った専門家ワークショップの形で、ほぼ2年程度を目安に開催することになりました。

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