韓国、国家エネルギー基本計画策定
――2030年原子力発電量シェア59%に拡大――


2008年9月25日
日本原子力産業協会
国際部

 韓国政府は2008年8月27日、青瓦台で国家エネルギー委員会(委員長:李明博大統領)を開催し、2030年迄の「第一次国家エネルギー基本計画」を策定した。20年単位の長期エネルギー戦略の策定は韓国建国以来初めてで、種々のエネルギー計画についての原則と方向性を提示。低炭素社会、グリーン成長をエネルギー部門から後押しし、石油以降の時代に戦略的に対応する長期ビジョンを描いている。
 原子力発電の2030年迄の計画として、設備容量比率を2007年実績の26%から41%に、発電電力量シェアも36%から59%に上昇させるとしている。具体的には140万kW級原子力発電所を新たに10基建設。このための用地は2010年迄に確保する計画だが、原子力増設による地域住民の反発と不安を解消するために「地域共存型の原子力発電所建設」と名付けた政策の実施を提案している。
 ちなみに原子力に関する記述では、「過去25年間で消費者物価が186%上昇しているのに対して電気料金が11.4%の上昇にとどまっているのは、原子力発電が安く安定的に電力を供給してきたから」と指摘している。
 国家エネルギー基本計画は、長期エネルギー政策のビジョンとして、1)エネルギー使用を減らしながら堅実に成長する社会、2)エネルギーを使ったとしても環境汚染を最小限に抑える社会、3)グリーンエネルギー事業の成長による雇用促進、4)エネルギー危機対策に貢献するエネルギー自立、及び福祉社会の実現、を列挙。
 これらのビジョンを実現するための戦略として、@エネルギー原単位を2030年迄に現在の0.341から0.185にするように、46%改善することで「エネルギー低消費社会」を実現する、A石油を含めた化石エネルギー比率(1次エネルギー基準)を現在の83%から2030年迄に61%へ縮小する一方、再生可能エネルギー比率は現在の2.4%から2030年迄に4.6倍の11%へ拡大し、エネルギー供給の脱化石を実現する、B「グリーン技術」などのエネルギー技術水準を、現在の60%から2030年には世界最高水準へ引き上げ、エネルギー産業が新たな成長分野になるよう育成する、C石油・ガスの自主開発率を現在の4.2%から2030年迄に40%に拡大し、現在7.8%いるエネルギー貧困層をすべて解消するよう、エネルギーを自立させ、福祉社会を実現する。(エネルギー貧困層:光熱費など、エネルギー費用が世帯所得の10%以上を占めている世帯。全世帯の7.8%の約120万世帯が該当)。

 (注)なお、韓国政府(知識経済省)が報道資料として発表した「国家エネルギー基本計画」の全文(仮訳)は、会員用ホームページに掲載しています。

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