[JAIF] 原産創立50周年・原産協会発足を記念して
    −各界からのメッセージ− 1956-2006

新協会と手を携えて


衆議院議員
甘 利   明

原子力は発足時こそ夢のエネルギー、未来のエネルギーとして与野党から絶賛を浴び、大いなる夢と期待を掛けられてきました。漫画界の巨匠、手塚治虫氏の手による鉄腕アトムはその後、コミック・アニメーションのバイブルとも言われるようになりましたが、未来世界を画いたその主人公は、ジェット推進10万馬力のヒーローで、その心臓部は原子力エンジンによるものでした。夢のエネルギーも、やがて幾多の事故や事象、さらには放射性廃棄物の問題に直面するにつれ、次第に正面から向かい合う人々が少なくなって行きました。にわか環境派の人達による無知識で短絡的発想によって、また軽率なマスコミの先導により真摯な推進者は後ろ指すら指されるように成りました。

こうした中にあって、日本原子力産業会議は原子力の未来を信じ、正確な知識と情報、真摯な取り組みで原子力行政を陰に陽に支えてきて頂きました。時が過ぎ、地球温暖化問題が喫緊かつ最重要な課題になった時、環境派の精神的支柱であり理論的バックボーンであった、ジェームズ・ラブロック博士が「たとえ裏切り者と言われようと温暖化を救うのは原子力の推進しかない。」と宣言をするにいたって、かつて環境派が反対した原子力は環境派が推進しなければならない原子力に変わって行きました。高速増殖炉はウランを百倍に再利用する技術であると同時に、最終廃棄物の管理を数十万年から数百年に縮める技術でもあり、この度国家基幹技術に組み入れられました。

思い起こせば原子力行政を担当する官庁の一部から反原発の動きが出た時に砂をかむような思いで天空を見上げながらも、己を信じて勇気を奮い起こし原子力推進をしてきた歴史を今、しみじみと噛み締めています。日本のエネルギー行政は原子力に限らず、戦略性乏しき上に組み立てられていました。エネルギー政策基本法を成立させ、今エネルギー国家戦略を取りまとめた我々はさらに原子力の役割をしっかりと認識し、新装なった日本原子力産業協会と手を携えて歩んでいくことを表明いたします。


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