[JAIF] 原産創立50周年・原産協会発足を記念して −各界からのメッセージ− 1956-2006 |
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課題克服へ、時宜を得た再出発
貴日本原子力産業協会は、前身の日本原子力産業会議の時代より、わが国原子力開発の黎明期から、原子力産業界を代表する機関として、積極的な活動を続けてこられました。 原産会議が発足した昭和31年といえば、「もはや戦後ではない」という言葉がこの年の経済白書に使われ流行し、また国の原子力委員会が発足するとともに、茨城県那珂郡東海村にて日本原子力研究所が発足、翌年には日本初の「原子の火」が灯った、まさにわが国の経済、原子力開発において節目となった年でした。 それから50年経った今、わが国は世界有数の原子力平和利用国となり、また原子燃料サイクルの確立に向けても着実な一歩を踏み出しています。 特に原子燃料サイクルに関しましては、私自身が20年以上前に電気事業連合会の会長を務めた折、その実現に向けて積極的に取り組んだこともあり、感慨も一入です。 しかしその一方、この50年間におけるわが国の原子力開発を取り巻く環境は、順風満帆であったというよりは、むしろ試練の連続であったように思います。さらに、昨今は電力自由化の進展など、事業全般をとりまく環境も大きく変わりつつあります。 こうした中、わが国原子力の更なる発展のためには、まずは安全を大前提に社会からの信頼を回復・獲得することが急務です。更にその上で、欧米等で取りいれられている科学的・合理的な規制の導入や、放射性廃棄物処分などのバックエンド対策の推進等々、数多くの課題について議論を深め、解決していかなくてはなりません。 貴協会がこの度、こうした諸課題に対して、自ら戦略的に行動する組織へと生まれ変わられることは、まさに時宜を得たものと思います。 「原子力ルネサンス」という言葉に代表される昨今の原子力見直しの機運も捉えて、わが国の原子力を将来にわたりしっかりと進めるためにも、貴協会が事業の三本柱として掲げられている、「政策提言」「規制対応」「情報発信」の強化を確実に推進され、是非とも業界をリードするような立場で活動を行っていっていただきたいと期待しております。 資源に恵まれないわが国において原子力の果たすべき役割は、これまでも、またこれからもいささかも揺るぎはないものと考えます。 今後とも原産協会が、業界の良き代表者として、わが国原子力の発展に尽くされますことを期待します。 |