[JAIF] 原産創立50周年・原産協会発足を記念して
    −各界からのメッセージ− 1956-2006

国民的見地で情報発信を


日本原子力技術協会理事長
石 川 迪 夫

夢のエネルギーとして期待された原子力発電は、1966年に商業運転を開始し、エネルギー資源の乏しい我が国において、これまで大きな役割を担ってきました。今後も、エネルギー安全保障の確保と地球温暖化対策の観点から基幹エネルギーとしての責務を果たす必要があります。しかし、その一方で近年、度重なる事故や不祥事により、社会からの信頼を失うなど、原子力を取り巻く環境は急速に悪化してきました。

原子力産業界は、このような危機的な状況を打開し、原子力の持つ可能性を健全に発展させるため、原子力を巡る諸課題の解決に向け戦略的に行動する日本原子力産業協会と原子力の技術基盤の整備を進める日本原子力技術協会の2つの団体を新たに設立させることとしました。

私たち日本原子力技術協会は、昨年4月に設立以来、これまで原子力施設の技術基盤の整備を進めるとともに、産業界の意識改革を求めて活動してきました。国内外の事故・故障データの分析・評価による原子力施設の運営支援、米国INPO方式によるピアレビューの実施等による安全文化の推進、プラントの維持、運用に係る民間規格の整備支援などを行ってきました。今後、これらの活動をさらに発展させるためには、民間がその責任において自律的に原子力施設を運営できる環境の整備が必要です。そのためには、科学的・合理的な根拠に基づき、事業者の自主保安を前提とした規制の最適化が求められます。

これを実現するためには、日本原子力産業協会が、強いリーダーシップをもって、国家的、国民的見地に立ち、社会に積極的な情報発信を行って戴く以外方法はありません。日本原子力技術協会が提供するデータを活用して戴き、原子力の安全の確保と安定的な稼動のための国民理解を促進するための活動が期待されます。さらに、世界的な原子力ルネサンスの潮流の中で、アジアにおける原子力開発に対しても、確固たる技術基盤の整備の下、産業界を牽引することが期待されます。

私たち日本原子力技術協会も、日本原子力産業協会とともに、「原子力産業の基盤強化と再活性化」に向け、技術基盤の整備を進め、その役割を担っていく所存です。


Copyright (C) 2006 JAPAN ATOMIC INDUSTRIAL FORUM, INC. All rights Reserved.