[JAIF] 原産創立50周年・原産協会発足を記念して
    −各界からのメッセージ− 1956-2006

新協会のコーディネート力に期待


衆議院議員
仙 谷 由 人

平成16年秋以降、原油価格が急騰し、この2年間で約2倍の水準までになっています。中国をはじめアジアにおいて急激な経済成長の起動力であるエネルギー需要は目を見張る勢いで増加し、原油価格押し上げの大きな要因になっています。言うまでもなく石油、天然ガス等の化石燃料は有限のエネルギー源であり今や資源は外交的な戦略カードとなってきました。

他方、化石燃料は地球温暖化防止の観点からCO2の排出抑制を迫られています。我が国においても京都議定書の調印によってCO2削減が喫緊の課題となっています。

加えて冷戦崩壊とグローバリゼーションはエネルギー資源について地政学的リスクを増大させ、「エネルギー安全保障と環境問題」が先進各国の戦略的課題になりました。日本原子力産業会議が進めてきた原子力エネルギーの研究・開発と日本のベストミックス路線の先見性は正しかったと考えておりますし、核燃料サイクルの追求も引き続き継続・推進することが資源のない日本の戦略に正しく位置づけられる必要があると思います。

こうした意義を踏まえると同時に、スリーマイル島の事故やチェルノブイリ原発事故の悲惨な経験、我が国の東海村臨界事故の事実を教訓化しなければなりません。国民にその原因と対応策などについて解りやすくディスクローズし、放射能や放射性物質を制御することができることについて正しく理解をいただく必要があります。原子力事業関係者には更なる安全の確保と品質マネジメントの向上に努力して頂き、今後の原子力発電所の高経年化問題、耐震安全性、そして核燃料サイクル稼働の新しい課題に対して、より一層の緊張感の持続をお願いいたします。

このたび日本原子力産業協会が「自ら戦略的に行動する団体」として組織を再編・強化されると伺い、心強く感じている次第です。普通の国民にはまだまだ原子力は解りづらい存在です。身近な電力でも3割が原子力発電所で確保されていることや、原油価格が高騰しても何故電力料金を上げなくて済んでいるか等正確に理解している人は少ないのです。

「理解され、信頼される原子力」を目指して原産協会がそのコーディネート力を発揮され、我が国の原子力の平和利用と国民生活の向上に大きく寄与されることを期待します。


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