[JAIF] 原産創立50周年・原産協会発足を記念して
    −各界からのメッセージ− 1956-2006

世界の原子力界を唸らせる発信を


日本原子力研究開発機構理事長

日本原子力研究開発機構(原子力機構)も、貴協会と同じ昭和31年に設立された二つの原子力の研究開発機関が、数度の組織改編を経て、昨年の10月に一つに統合され、新たな歩みを始めたばかりです。貴協会も原子力機構も、その創立と大きな改組が、ほぼ同時期に行われて来たということは、原子力界の歴史、そのものを背負ってきた証とも言えるかも知れません。

さて、この原子力界の軌跡は、必ずしも平坦な道のりではなく、TMI事故やチェルノブイリ事故以降、原子力発電や核燃料サイクルの開発が長く停滞し、大学においても学科名から原子力がなくなるなど、原子力にとって「冬の時代」が続いていました。

ようやく21世紀に入り、エネルギーの安定供給確保や地球温暖化に代表される環境問題等により、世界的に、原子力発電や核燃料サイクルの重要性が再評価・再認識され、今では「原子力ルネサンス」と呼ばれるほど、原子力を最大限活用しようとする大きな動きが出てきております。

わが国においても、昨年10月に、原子力委員会の「原子力政策大綱」が閣議決定され、原子力発電をはじめとする原子力を引き続き利用することが確認されました。さらに、本年5月31日には経済産業省が「新・国家エネルギー戦略」を発表し、その中で原子力については「原子力立国計画」として、その利用や研究開発を加速する方向性も示されております。

このような情勢の中で、21世紀のエネルギー、地球環境問題において重要な役割を担う原子力開発利用の、更なる発展、定着に向けて、産業界を中心として組織された貴協会の果たすべき役割は、真に大なるものと考えます。改革の志を十二分に発揮し、日本の原子力界は言うに及ばず世界の原子力界を、なるほどと唸らせることのできるような政策提言、情報発信を期待するものであります。

原子力機構としても、重点をおいて進めている高速増殖炉の開発や高レベル放射性廃棄物の処分研究開発に代表される核燃料サイクルの確立、核融合研究開発、量子ビームテクノロジー研究において、貴協会の提言によって活気づいた産業界や大学の高度な技術力や有能な人材が参集し、支援してくれることを期待してやみません。


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