[JAIF] 原産創立50周年・原産協会発足を記念して −各界からのメッセージ− 1956-2006 |
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新しい皮袋に対する期待
1951年に日本アイソトープ協会が設立され、5年の時をおいて日本原子力産業会議が設立されました。前者は工業、医療、ライフサイエンスなどの分野における身近なアイソトープ・放射線利用と安全の確保を目指し、後者は原子力エネルギーの安定供給やその関連産業の発展などを目指しました。共に原子力の平和利用を旗印に、事業活動の推進が公利公益に適うと考え行動してきたのであろうと思います。その結果として、社会におけるインフラストラクチャーの一部として、原子力及び関連産業の比重を高めてきた日本原子力産業会議の功績は大きく評価されます。 近年アジアを中心とした諸国の著しい経済発展が膨大なエネルギーや資源の需要をもたらす一方、不安定な政治情勢や資源の枯渇、環境問題等の帰結として、予想以上の速さでエネルギー需給の問題が人類に迫りくる感があります。自然エネルギーのより積極的な利用や省エネルギー技術の開発などと並んで、原子力の利用が重要な選択肢であることは間違いありません。 しかし、原子力は科学的には急速に進歩したのですが、いろいろな領域での総合的な検討、特に社会科学的な、グローバルな視点からの検討が少なかったように思われます。科学者が19世紀はじめ頃から「人の行為は環境に影響を与える」と警告してきた通り酸性雨、オゾン層の破壊、温暖化等々が現実の問題となってきました。人と自然が共生する持続可能な社会を築くためには、いろいろな「開発」とそこから生じる影響のバランスを取り、なおかつその影響を最小化する必要があります。現在解決できないことでも、人々は科学技術、政治や経済、国際協力の領域で全力を挙げて協力し、解決しなければなりません。 日本原子力産業協会は、原子力平和利用の推進のために、これら関係領域間の強力なコーディネーターとして問題解決の中心的役割を担い、国際協力、関連産業の振興、放射線利用の推進、情報の提供、安全管理、人材の育成などについての責任を果たすことが期待されています。 新しい理念やグローバルな視点を新しい皮袋に入れ、今後の事業を積極的に推進されることを願っております。 |