[JAIF] 南アフリカ原子力産業協会(NIASA)の発足について

 南アフリカの原子力産業界は、同国および世界における原子力ルネッサンスを背景に、原子力産業界を代表して、政府やその他の主要な利害関係者に対応するための統括団体を創設することが重要であるとして、南アフリカ原子力産業協会(Nuclear Industry Association of South Africa:NIASA)を発足させることになった。
 南アフリカ原子力公社(NECSA)CEOのR.アダム博士とPBMR社CEOのJ.クリーク氏が、本年6月、南アフリカ原子力産業協会(NIASA)設立を発表した。

1.設立目的:
(1)原子力産業界全般に係る問題に、共通の視点から対処する。
(2)急激な変化の時代において、限られた人的資源で、原子力産業界全体として一致した取組みを行い、業務の重複を避ける。
(3)政府(特に政策策定)に対して、意見・情報発信機関として活動する。
(4)産業界のために調査研究を実施(委託)する。

2.第1回総会:平成19年11月6日(火)

3.暫定組織委員会メンバー:
  R.アダム   南アフリカ原子力公社(NECSA)CEO
  G.クラーセン PBMR社取締役
  C.ル・ルー  国営電力会社エスコム
  G.グレイベンスタイン M-Tech&ノースウエスト大学
  K.ステイン  IST社
  R.ニカーク  ウラニウム・ワン社
*M.サテケ氏(プレトリア大学核医学部)、Z.ビラカジ氏(イテンバ加速器科学研究所)は最初の2回の会合に出席

4.暫定組織委員会の活動
  ・NIASAの定款、会員構成、会費等についてまとめ、登記手続きを行う。
  ・9月に会員候補者に詳細資料を送付し、入会の勧誘を実施。
  ・11月の第1回総会に向けて、諸準備を行う。

5.その他
 上記NIASA発足に伴い、南アフリカPBMR関係者が本年7月に原産協会を訪問。
(1)期 日:平成19年7月31日(火)
(2)来訪者:
  ジャブ・マンゲナ PBMR社 国産化推進マネージャー
  ジェフ・ヴィクター PBMR社 発電能力向上推進担当マネージャー
  リニー・グレイブンシュタインPBMR社 プロセスヒート・デザインエンジニア
  ディテボゴ・クゴモ 鉱物エネルギー省 原子力安全課長
  セシル・マソカ 在日南アフリカ大使館 公使(科学技術)
  山元 新二 在日南アフリカ大使館 経済部 マーケティングオフィサー
  稲益 智子 在日南アフリカ大使館 科学技術調査官
(3)概 要:
  南アのPBMR社から3名、政府鉱物エネルギー省から1名、在日南アフリカ大使館から3名(日本人2名を含む)計7名が、南アにおいて原産協会と同様な組織(NIASA)を立ち上げるため、当協会の活動等について調査する目的で原産協会を訪問。原産協会からは、設立目的、会員数、事務局組織、活動状況等を説明。その後、質疑応答、意見交換などを行い、南アから「政府への提言方法は」、「約450の会員の意見をどのように纏めるのか」等の質問があった。
  最後に、お互いに今後とも連携を深め、両国の原子力産業の発展に寄与するため、相互協力と情報交換を活発にすることを約束した。

(参 考)南アフリカの原子力開発状況

(1)運転中の原子力発電所:
クバーグ1号機(94.5万kW、PWR、仏フラマトム製)、1978年着工、1984年運開
クバーグ2号機(94.5万kW、PWR、仏フラマトム製)、1978年着工、1985年運開
(2)原子力発電計画:
・主要な石炭鉱山が北東部にあり、電力消費地のケープタウンやダーバン地域から離れているため、石炭や電力の長距離輸送(送電)が非効率的であることから、1970年代半ばに、原子力発電所の建設を決定。クバーグ原発が建設された。
・その後、目立った原発建設の動きはなかったが、政府は、2006年初め、急増するケープタウン地域の電力需要を賄うために、在来炉の増設を検討している旨、発表。
・2007年初め、国営電力会社エスコムは、2025年までの電源開発計画を承認。
 2025年の発電規模:8,000万kWに拡大(2,000万kWの新規原発の建設を含む)
 2025年の発電電力量シェア:原子力、25%以上(現在6%)
                  石炭、60%以下(現在87%)
 2009-10年:400万kWのPWR建設着工(第1号機は2016年運開予定)
(3)PBMRプロジェクト:
・1993年以来開発中。実証プラント建設(於クバーグ近辺)と、パイロット燃料プラント建設(於ペリンダバ)からなる。
・2009年建設開始予定。その4年後に最初の燃料装荷予定。
その3年後に最初の商業用PBMR建設開始。エスコムは、2020年までに24基建設予定。
以上

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