[JAIF] 平成20年「原子力新年の集い」

平成20年「原子力新年の集い」
会長挨拶

平成20年1月7日 
東京プリンスホテル


日本原子力産業協会
今井 敬会長

 皆さん、明けましておめでとうございます。今年のお正月は大変よい天気で皆さん方も良い年をお迎えになったことと存じます。昨年を振り返りますと前半が好調だったのですが、後半は波瀾の年だと思います。

 7月に参議院選挙で自公が大敗いたしまして、ねじれ国会ということになり、その後安倍総理が辞められ、福田総理になりまして、大連立を仕掛けたけれどもうまくいかない、現在その状態のまま臨時国会が終盤になりまして今月の18日から新しい通常国会になるわけですが、いったいこの3分の2ということをどううまく利用して、政局を当面安定させ、予算を成立させて、洞爺湖サミットを迎えられるかということが大きな課題だと思います。

 経済の面を見ましてもサブプライムのウイルスが世界中に撒き散らされまして、株価は下がり、為替は変動し、余ったお金が投資にいって油が高騰するというような事態になっております。また、日本も建築基準法の対応がうまくいかず、建築が日本の成長の足をひっぱる状態になっており、おそらくこれは今年の前半まで続くと思います。後半によくなることを期待いたしております。

 原子力業界につきましては、今、私は手詰まり状態ではないかと思っております。昨年の前半に電力会社がいろいろ過去の再点検をされ、いろいろなことが出てまいりました。一部国民の信頼感を損なうというようなこともございました。

 また、7月に中越沖地震がございまして、大きな被害があり、地域の住民の方に不安感を持たせることになりました。私自身は、電力会社の総点検の結果、いろいろなことが出てきたことはそれ自体遺憾でございますけれども、しかしながらこれによって非常に原子力業界の透明性が向上し、また、コーポレートガバナンスも格段に強化されたというふうに思っているわけであります。

 また、柏崎の地震につきましても、あれだけ想定外の大きな地震であったにもかかわらず、本体が微動だにしないと、つまり「止める」、「冷やす」、「閉じ込める」という機能がきっちりと作動したということにつきましては、日本の原子力の安全性を世界に示したということだと思っているわけであります。さりながら、地震の被害は大きく、火災の映像なども報道されまして、結局地域の住民の方の不安感は、まだ解消されていないということだと思います。これから、今、実行されておられます地質調査を終わりまして、将来予想される震度をもう一回再点検し、必要な修理といいますか、耐震強化ということをきっちりと行って、国民ならびに住民の信頼感を回復するということが一番大きな仕事ではないかと思います。

 原産協会といたしましても、原技協の皆さんと協力して少しでもお役に立ちたいと思っているしだいでございます。

 今年は7月に洞爺湖サミットがございます。地球環境問題が最大の問題になると思います。水力についで、COの発生の少ない原子力発電というものが大いに見直される機会になると思っております。また油の値段が100ドルになったということは、ウランの値段も10倍になりましたけれども、燃料比の割合の少ない原子力発電の経済性というものが一段と見直されるということになると思います。エネルギー需給の面からみましても、環境の面からみましても、今年は原子力にとって非常に重要な年になると思います。

 ぜひ、現在計画中の13基の原子力発電所がなるべくすみやかに着工、完成され、現在稼働中の55基の原子力発電所の稼働率がアメリカ、韓国並みに高まっていくと、90%とはいわないかもしれませんが、高まっていくということが非常に重要な課題であると思っております。

 明るい話題もございます。日本原燃が六ヶ所村でやっている再処理が近々稼働する計画になっています。また、日本原子力機構がやっている「もんじゅ」も10年ぶりに再開する見込みになっています。これらは新しい核燃料サイクルがまわるということを意味するわけでございまして、非常に重要な一年になると思っております。また、北朝鮮の問題、核廃絶の問題について六カ国協議が行われておりますが、一昨年エルバラダイさんがみえた時に、北朝鮮を9カ国目の核保有国という発言をされまして、私はびっくりしたのですが、北朝鮮の核を廃絶するということは核不拡散にとって極めて重要なことだと認識しているわけでございます。

 私どもは皆様方とごいっしょに、原子力の平和利用を推進いたしまして、持続可能な地球国際社会の構築というものに少しでもお役に立てればと考え、仕事をしております。どうかご支援のほどお願い申し上げます。終わりにご参集の皆様方のご健勝とますますのご発展を祈念いたしまして私の新年のご挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。

以 上

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