「原子力は持続可能か?」をテーマに討論
「原子力は持続可能か?」をテーマに、新潟県知事の泉田裕彦氏、21世紀研究所研究主幹の澤昭裕氏、元国際エネルギー機関事務局長で笹川平和財団理事長の田中伸男氏が討論するパネルディスカッションが5月14日、都内で行われた。
泉田氏は、福島第一原子力発電所事故で明らかになった課題をあげ、多くの自然災害に見舞われた経験から複合災害に対する不安を示したほか、県民の生命・財産を守る立場から、安全確保の大前提として信頼確保の必要を訴え、行政や事業者における組織ガバナンスの問題を指摘するなどした。事故後の原子力政策に対する不信感増大を懸念し、「原子力安全規制の最適化に向けて」と題する提言を公表している澤氏は、「日本では推進側と規制側が責任を押し付け合っている」と批判し、原子力発電所を経済的資産として安全に有効活用していくという共通の理念がなければ、信頼回復は難しいなどと述べた。
田中氏は、原子力が持続可能であるために、安全、廃棄物処理、核不拡散の問題を掲げた上、平和利用のための新しい技術を開発していく必要を主張し、一例として、福島第一の燃料デブリ処理の実証実験を、福島第二を利用し国際プロジェクトで行うことを通じ、事故の教訓を世界で共有していくことを提唱した。