原子力損害賠償制度専門部会が初会合 予見可能性ある改正求む意見相次ぐ
原子力委員会の「原子力損害賠償制度専門部会」の初会合が5月21日、都内で開催された。原子力損害の賠償に関する法律は1961年に制定されて以来、必要な見直しが行われてきたが、福島第一原子力発電所の事故を経て、事業者に無限責任を課す日本の制度は各国と比べても重く、事業者と国の責任の明確化などが問われていたことなどから、見直すこととなったもの。
初会合では、日本と諸外国の原子力損害賠償制度について説明を受けた後、意見交換が行われた。委員からは、「国が原子力をベースロード電源と位置付けるなら国が責任を持って補償を」(伊藤聡子氏・フリーキャスター)、「事業者の負担に関し電力システム改革の議論は避けて通れない」(遠藤典子・慶応義塾大学大学院特任教授)、「事業者にとっての予見可能性確保は不可欠」(加藤泰彦・経済団体連合会資源・エネルギー対策委員会共同委員長)――など、より現状を反映させて将来も持続可能な制度を求める声が多く出された。また、今回は欠席となったが福井県知事の西川一誠氏が、福島第一原子力発電所事故に伴う影響、原子力政策に関する国民理解の不十分などを指摘した上で、「国策として原子力を推進してきた国が最終的に全責任を持つ仕組みとすることが必要」とする意見 書を提出した。
部会長に選出された濱田純一・前東京大学総長は会合後、「これだけ大きなテーマなので拙速は避けたい。福島での経験も積み上がってきているので、じっくり意見を聞いて議論を進めたい」と語った。