原子力災害時医療体制の具体化に向け検討開始、「原子力災害拠点病院」など指定へ

2015年4月27日

 原子力規制委員会は4月24日、原子力災害時の医療体制のあり方に関する検討を開始した。規制委員会発足後、2014年10月に決定した原子力災害対策指針に基づき進められてきた緊急被ばく医療に関する検討を踏まえ、医療機関の整備、関係者に対する研修・訓練、複合災害への対応も含めた原子力災害医療体制のあり方について、地域災害対策の専門家も交え集中審議するもの。
 これまで、緊急被ばく医療機関に関しては、原子力安全委員会による指針類で、患者の重篤度合い、医療の専門性に応じ、「初期被ばく医療機関」、「二次被ばく医療機関」、「三次被ばく医療機関」の段階を設け、立地地点、診療機能、備えるべき資機材などを定めていた。高度な専門的医療を施す「三次被ばく医療機関」には、放射線医学総合研究所(東日本)と広島大学(西日本)が指定されている。
 今回、規制委員会の専門家検討チームで示された素案によると、原子力災害医療体制の具体化として、新たに、「原子力災害拠点病院」、「原子力災害医療協力機関」、「高度被ばく医療支援センター」、「原子力災害医療・総合支援センター」、「原子力災害医療派遣チーム」を設定し、それぞれが備えるべき診療機能、従事者、設備備品、連携体制など、施設要件が整理されている。
 「原子力災害拠点病院」は、原子力発電所などが立地する道府県および周辺地域の災害拠点病院が実施主体となり、汚染の有無にかかわらず傷病者を受け入れ、被ばくがある場合は適切な診療を行い、ここで対応できない高度専門的な診療・支援や、専門教育研修を「高度被ばく医療支援センター」が担う。これらの施設要件に関しては、国が定期的に必要な見直しを図るものとしている。