水産白書、原子力災害からの漁業復旧状況など
政府は5月22日、「平成26年度水産白書」を公表した。白書では、前年度に続き、「東日本大震災からの復興に向けた動き」の節を設け、その中で、福島第一原子力発電所事故への対応について触れており、汚染水対策、海水モニタリング、福島県沖での試験操業、水産物の放射性物質調査の状況などを述べている。
福島県沖での試験操業については、2012年6月の開始当初は相馬市沿岸から50km以東で3種が捕獲対象だったが、2015年2月現在、海域は発電所から半径20km以内を除く福島県沿岸全域に、捕獲対象も58種にまで拡大、さらに、試験操業の参加隻数も当初の6隻から786隻に、漁獲量も2012年の122トンから2014年には740トンに増加するなど、「本格的な漁業再開に向けて一歩ずつ着実な取組が行われている」としている。
放射性物質調査については、基準値を超える放射性物質を検出する水産物の減少を述べるとともに、IAEAによる「食料のモニタリングおよび食料の放射能汚染に関する事項への対応のために採られた措置は適切であり、食料供給網はコントロールされている」との評価を紹介している。
また、海外への情報提供については、放射性物質モニタリング調査結果を英語、中国語、韓国語で公表するとともに、各国政府や報道機関に対しても、安全確保の取組を説明してきた結果、2014年11月までに、11か国が水産物に対する規制措置を撤廃したとしている。一方、韓国では、2013年9月以降、福島県等計8県の水産物の輸入を全面的に禁止するなど、規制措置を強化したことから、WTOの委員会の場を含め、より丁寧な説明を行ってきたところ、韓国政府では、専門家委員会を設置し現地調査を実施するなど、規制措置の見直しに向け検討に入っている模様だ。