福島第一廃炉、燃料デブリ取出しで3工法提案
原子力損害賠償・廃炉等支援機構は4月9日、福島第一原子力発電所廃炉に向けた技術戦略プランの原案を、福島県・郡山市で開かれた県内自治体・商工団体の出席する廃炉・汚染水評議会で発表した。2014年8月に廃炉関連の業務を追加、改組した同機構は、技術委員会で、政府の中長期ロードマップの改訂に反映することを目的に、(1)燃料デブリ取り出し、(2)廃棄物対策、(3)建屋止水の3分野について、工法・プロセスの選択・優先順位の判断の考え方やアクションプランを提示する戦略プランの検討を行ってきた。
今回示された戦略プラン原案では、「安全」、「確実」、「合理的」、「迅速」、「現場指向」の5つをリスク低減のための基本的考え方に据え、燃料デブリ取り出しと廃棄物対策の2分野について取りまとめている。
福島第一の廃炉に向けては、過酷事故により顕在化した放射性物質によるリスクから、人と環境を守る継続的なリスクの低減活動が求められるが、戦略プランでは、まず、サイト内に現存するリスクの要因となる汚染水、使用済み燃料プール内に貯蔵されている燃料、原子炉格納容器内の燃料デブリ、水処理で発生する二次廃棄物など、主要なものをあげ、各々についてリスクを評価し、優先順位を決めて対処方針を策定するリスク低減戦略を述べている。
その上で、燃料デブリ取り出しでは、重点的に取り組む3つの工法として、(1)冠水-上アクセス工法、(2)気中-上アクセス工法、(3)気中-横アクセス工法をあげた。冠水-上アクセス工法は、格納容器内に水を張り、水中の燃料デブリを格納容器の上から取り出すもので、燃料デブリの冷却、放射線の遮へい、放射性ダストの飛散防止が期待できるものの、格納容器の止水、耐震性、臨界管理が課題となる。一方、冠水が困難な場合に選択肢となる気中-上アクセス工法、気中-横アクセス工法は、気中の燃料デブリを格納容器のそれぞれ上、横(原子炉建屋1階)から取り出すものだが、放射性ダストの飛散や放射線の遮へいが課題となる。
また、廃棄物対策では、持込み抑制の徹底、構内再利用の促進により発生量を低減するほか、二次廃棄物の発生にも留意し、保管管理に当たっては、工事による廃棄物発生予測に基づいて限られた敷地を有効活用し計画的に対応していくこととしている。
この他、評議会では、東京電力が、排水路データの問題を受けて進めている福島第一の敷地境界外に影響を与えるリスク総点検の検討状況を報告した。