福島第一汚染水処理完了、全面マスク不要エリアも大幅拡大
福島第一原子力発電所廃止措置の進捗状況が5月28日に発表された。
タンク内の汚染水処理が5月27日に完了した。多核種除去設備(既設、増設、高性能)、RO濃縮水処理設備、モバイル型ストロンチウム除去装置、セシウム吸着装置、第2セシウム吸着装置のいわゆる「7兄弟」が運転し、3月末には約8割の汚染水処理が終了し、2014年度内のタンクに起因する敷地境界実効線量1mSv/年未満が達成されていた。今後、タンク底部の残水(約9,500立方mと推定)については、タンク解体に向け順次処理を進め、多核種除去設備以外で処理した「ストロンチウム処理水」の処理を継続して行う。27日の処理完了時点で、多核種除去設備による処理水貯蔵量は約44万立方m、ストロンチウム処理水貯蔵量は約18万立方mとなっている。汚染水処理完了について、東京電力福島第一廃炉推進カンパニーの増田尚宏プレジデントは、28日の記者会見で、「リスクは桁違いに下がったものと思われる。非常に大きな一歩」などと述べた。
作業環境については、全面マスク不要エリアが5月29日より構内の約90%にまで拡大。これにより、夏場の熱中症リスクや作業負荷の軽減、コミュニケーション向上により、作業の効率化が図られることとなる。また、9階建、1,200人収容で、食事スペースも備えた大型休憩所も5月31日より運用を開始する。
原子炉内燃料デブリの検知技術開発として、1号機に機材を設置し、2月より測定を開始したミュオン透視技術だが、5月19日までの約3か月の測定で、炉心部に大きな燃料がないことが定量的に確認されており、燃料デブリは「格納容器外、圧力容器の下部にあるのでは」と東京電力は推察している。