福島第一1号機格納容器内で進むロボット調査

 福島第一原子力発電所では、今後の燃料デブリ取り出しに先立ち、原子炉格納容器の状況を早期に把握するため、4月10日より、1号機の原子炉格納容器内部にロボット(クローラ調査装置)を投入し、アクセスルートや構造物の現状などの調査が行われている。
 調査はまず、原子炉格納容器の中にロボットを投入し、1階グレーチング(格子状の鋼材)上の情報取得を目的として反時計回りルートで走行させ、地下階へのアクセス開口部周囲に干渉物のないことを確認するなど、成果を得たが、約3分の2の調査範囲を走行したところで停止したため、調査装置の回収が困難なものと判断し、当初の計画に基づき、13日にケーブルを切断した。トラブル原因については、その後のモックアップによる調査により、ロボットが狭あい箇所を通過する際に、グレーチングの切り欠き部分で装置左側クローラが脱輪し、脱出を試みるうちにグレーチング接合部の隙間に右側クローラが入り込んだものと推定している。試験計画に則り、
 13日から予定されていた時計回りルートの調査は15日に延期し開始されたが、今回の経験を踏まえ、落下物・障害物・グレーチングの状態を詳細に確認しながら進み、判断に迷う場合は立ち止まって対応を検討するなど、時間をかけ慎重に行うこととしている。
 今回のロボットの投入に先立ち、1号機原子炉格納容器内のモックアップにより、グレーチングを濡らした状態や、干渉物・暗闇などの現場環境を模擬した走行試験、アクセスルート上への落下物を想定した踏破性試験を実施し、装置の機能・走行性・遠隔操作性に問題のないことを確認している。
 13日に東京電力が発表したところによると、調査により測定された線量率は最大で約10Sv/hで、調査カメラは2、3日間、耐放射性に問題なく使用できる知見が得られたとしている。
 同社では、1号機原子炉格納容器内へのロボット投入について、「前人未到の挑戦であり、調査を通じて貴重なデータが得られていることについては、今後の廃炉作業を行う上で大きな一歩だ」として、今後のさらなる知見獲得に期待をかけている。