福島給食センターが開所、事故踏まえ体感型訓練施設も
福島第一原子力発電所で働く作業員らに食事を提供する「福島給食センター」(写真)が3月31日、大熊町に開所した。発電所から約9kmの場所に位置しており、14年5月より建設を進めてきたもの。本格運用は4月中旬以降を予定している。
現在、福島第一で働く約7,000人の作業員は個別に弁当などを購入している状況だが、センターの稼働により、昼夜問わず温かい食事をとることができ、労働環境が抜本的に改善することが期待される。昼食は1回に約3,000食を提供できるほか、保温・保冷容器や断熱構造の車両の使用により、運搬中にも適切な温度管理が図られる。
また、給食センターの建設・運営に伴う雇用の創出や、福島県産食材の使用により、被災地の復興や風評払拭にも貢献するものとなる。ちなみに、センターの厨房機器には、福島県内に工場をもつクリナップ社などの電化機器が導入された。
さらに、給食センターの従業員用食堂には、地域に福島第一の廃炉対策を理解してもらうよう、サイトの最新状況などを映す大型ディスプレイを設置することが検討されている。
福島第一廃炉推進カンパニー・プレジデントの増田尚宏氏は、26日の福島第一廃止措置進捗状況の月例会見で、給食センターの開所について、「食事以外の目的が大きいと思う」などと述べ、センターが作業員同志のコミュニケーション活性化や、作業安全の向上にもつながることを強調した。
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東京電力は、福島第一廃炉作業の安全確保に向け、新規入所者を対象とした体感型の訓練施設を、新事務棟近傍に16年夏にも完成させることとした。
作業員の落下事故を踏まえて、安全帯使用に係る危険体感施設については、先行して運用開始することとしており、ヘルメット上に人間の体重を模したサンドバッグを落とし落下の衝撃を実感させる器材などを整備する。
同社が3月26日に発表したところによると、3月2日現在、14年度の福島第一での人身災害(熱中症を除く)は、前年度同期と比較して約2.4倍の47件にも上っており、特に、経験年数1年未満の人の事故が全体の84%を占めていることから、新規入所者の危険予知能力向上が喫緊の課題とみて、今回の施設整備に至った。