経団連がエネルギーミックスで提言

2015年4月7日

 日本経済団体連合会は4月6日、2030年のエネルギーミックスに関する提言を発表した。安全性の確保を大前提に、エネルギーの安定供給、経済性、環境適合性(S+3E)の適切なバランスがとれたものとする必要があるとした上で、「経済性ある価格でのエネルギー安定供給の実現が極めて重要な課題」ととらえ、低廉で安定的に発電できるベースロード電源の比率を6割確保すべきと訴えている。現在、資源エネルギー庁で進められている長期エネルギー需給に関する審議では、地熱、水力、原子力、石炭がベースロード電源に位置付けられている。震災前は、発電電力量全体に占めるベースロード電源の比率が6割を超していたが、震災後、原子力発電停止により40%以下にまで大きく低下した。
 経団連は、提言の中で、2030年における電源構成については、地球産業環境技術研究機構(RITE)によるモデル分析を踏まえ、ベースロード電源比率が62%超となる、再生可能エネルギー15%程度、原子力25%超、火力60%程度が妥当としているほか、国家戦略として、経済性とエネルギー安全保障を確保しつつ、地球温暖化問題に貢献するため、ゼロエミッション電源比率やエネルギー自給率の向上を目指すことが重要だと述べている。
 2030年のエネルギーミックス実現に向け、原子力については、人材や技術の維持・強化の観点からも、既存プラントの最大限の活用とともに、リプレースも視野に入れ、安全性が確認されたプラントの運転期間延長、核燃料サイクルの確立、放射性廃棄物最終処分場の確保、原子力損害賠償制度の見直しなどが必要だとしている。
 RITEによる分析では、再生可能エネルギーを15~30%、原子力を15~30%の範囲にとったシナリオを示した上で、2030年における電源構成と、その経済影響、環境影響を評価しており、再生可能エネルギーの比率が5ポイント増加すれば6,000億~1兆1,000億円コストが増加し、ゼロエミッション電源(再生可能エネルギー、原子力)が5ポイント増加すればエネルギー起源CO2は2~3ポイント減少するなどとしている。
 経団連では、年末のCOP21を見据え、エネルギーミックスと合せて、「地球規模の温室効果ガス削減に向け実効ある気候変動政策を求める」とする温暖化対策に関する提言も発表した。