自民党、エネルギーミックスで提言
自由民主党の調査会は4月7日、エネルギーミックスに関する提言を安倍晋三首相に提出した。安全性、安定供給、経済効率性、環境適合の「3E+S」すべてを満たすことを目標に掲げ、「欧米の多くの国で漸減傾向にあるが、現状6割以上となっているベースロード電源の比率について、わが国において国際的にそん色のない水準を確保する」ことを求めている。現在、2014年に改定されたエネルギー基本計画を踏まえ、資源エネルギー庁で2030年を見据えた長期エネルギー需給見通しの検討が進められているところだ。
提言ではまず、エネルギーミックスの検討に際し、数字ありきの議論ではなく、エネルギー政策の原点として「3E+S」に立ち返り、それに係る政策目標を明らかにした上で、実現可能なバランスのとれた需給構造の姿を導くことが不可欠だとしている。
「3E+S」のうち、経済効率性については、震災後の電気料金の大幅上昇に伴う国民生活や経済活動への支障を懸念し、電力コストを震災前の水準をめざし可能な限り低下させるようベースロード電源比率の確保を求めている。総合資源エネルギー調査会の議論で、ベースロード電源には、地熱、水力、原子力、石炭火力が位置付けられており、発電コストが低廉で、安定的に発電することができ、昼夜を問わず継続的に稼働する電源とされている。地球環境産業技術研究機構がこのほど取りまとめた分析によると、ベースロード電源は、震災前に60%程度だったが、2013年時点で40%程度にまで下がっており、2030年において、ベースロード電源比率が50%(再エネ比率25%)、60%(同20%)になれば、40%(同30%)の場合に比べて、それぞれ年1.4兆円、2.4兆円のエネルギーコストの低下が見込まれると試算されている。
また、提言は、環境適合について、成長戦略を前提とし、石油危機後に達成した大幅なエネルギー効率の改善を目指すとしており、震災後最高水準となったCO2排出量の大幅削減を実現するエネルギーミックスとすべきとしている。