電事連、今夏電力需給「正に綱渡り」

2015年4月20日

 電気事業連合会の八木誠会長は、4月17日の定例記者会見で、16日の総合資源エネルギー調査会の検証委員会で取りまとめられた今夏の電力需給見通しについて、電力安定供給に最低限必要となる予備率3%を確保できる見込みとなったものの、気温上昇による急激な需要変動や、発電所の計画外停止などのリスクを考慮すると、「実質的な余力はないに等しく、正に綱渡りの需給運用」などと、依然厳しい状況にあることを憂慮し、引き続き需給両面において最大限の取組を図っていく考えを述べた。
 資源エネルギー庁では、電力各社より原子力発電所が稼働しないものとして今夏の電力需給見通しを報告徴収し取りまとめた上で、16日の検証委員会で公表しており、電力各社の需給バランス表によると、原子力発電所が全基停止した昨夏同様に、予備率3%確保には電力会社間の融通調整が必要となっているほか、運転年数が相当程度経過した火力発電プラントの定期検査繰り延べなどにより、需給ひっ迫を回避するよう努めることとしている。
 これに関連し、八木会長は、17日の会見で、2014年度の10社合計の火力燃料消費量が、石油系で1,617万kl、LNGで5,661万tとなり、石油系は前年度より減少したものの依然として震災前の5割増し、LNGでは2011年度から4年連続で過去最高を更新し震災前の4割増しとなっているとして、火力燃料費の大幅な負担増の続く状況を懸念し、低廉な電力安定供給のため、原子力発電所の早急な再稼働に向け取り組んでいく考えを述べた。また、電力システム改革に伴い、4月に発足した「電力広域的運営推進機関」については、需給ひっ迫時の周波数調整・融通指示や、送電網の計画・整備を行う上で、中心的な役割を果たすよう期待するなどと論評した。