IAEAレビューミッション最終報告まとまる、双方向のコミュニケーションなど助言
福島第一原子力発電所の廃炉に関して、IAEAが4月までに実施したレビューミッションの最終報告書が5月14日、経済産業省に提出された。レビューミッションは、J.C.レンティッホ氏(IAEA核燃料サイクル・廃棄物技術部長)率いる専門家チームが、福島第一廃止措置計画の実施状況について、関係者との意見交換や現地視察を通じ助言を行うもので、今回で第3回目となる。レビューチームは2月の来日時、暫定報告書を公表しているが、このほど取りまとめられた最終報告書は、雨水流入への対応や情報公開のあり方について4月に行った追加調査の結果を補足する格好となっている。
今回報告書では、廃止措置の進捗を評価する一方、発電所内に現存し工程の進展に伴い増加する放射性廃棄物の長期的管理を重要視し、この関連では計5項目の助言を示した。その一つとして、「ほとんどの汚染されたがれきが表面のみしか汚染しておらず、一定程度まで容易に除染しうる」ことから、廃棄物量を低減するためクリアランスの採用などを提案している。
汚染水管理については、処理システムの改良・拡張、改良型タンクの設置、地下水バイパスの運用、陸側遮水壁の建設など、IAEAチームによる評価を述べた上で、今後の信頼性向上に向けて、水の捕集、処理、貯蔵などの多様な活動は相互依存性が非常に高く複雑なことから、東京電力に対し、コンピューターツールを用いて陸側と海側の両方の汚染水管理を一括して理解できるシステムの構築を助言している。
また、情報公開については、これまでのコミュニケーション強化の努力を認めつつも、双方向の対話促進とともに、発信された情報をメディアや公衆がどのように理解しているかを徹底分析するなど、改善に努めるよう助言している。