[原子力産業新聞] 1999年11月11日 第2012号 <2面>

東電、Y2K対策を完了 各電力危機管理計画 通産「妥当」と判断

東京電力は一日、コンピュータ2000年問題(Y2K)に関する対策を、10月末までに完了したと発表した。

同社は96年よリ社内各部門において同問題への対応を開始。98年には副社長を主査とする「Y2K対策委員会」を設置するなどして、一元的な対応を進めてきた。そして10月末日までに、全重要システム(560箇所)のうちの全ておよび、その他のシステムについて対応を完了。今後は6月に公表された危機管理計画に基づいて情報連絡訓練などを実施するとともに、態勢をさらに整備するなどして、同問題への対応に万全を期すとしている。

通産省・資源エネルギー斤の原子力発電所2000年問題(Y2K)調査委員会は1日、「コンピュータ2000年問題に関する危機管理計画(原子力部門)の策定状況について」を発表。各電気事業者において作成されたY2K危機管理計画の内容を調査審議の結果、内容は妥当であり、問題発生想定日においても発電所の安全・安定運転は確保されるとの判断を示し、同日開催の原子力安全委員会に報告した。

原子力発電所では多重防護が施されていることから、仮に異常な事態が発生したとしても事態の拡大を防止し、放射性物質が外部へ放出され周辺環境に影響を与えることがないよう万全を期した対策が既に講じられていることから、仮に制御系の機器に故障があったとしても適切な措置が講じられ、原子炉施設の安全性には問題がないことが確認されている。また発電所の運転を直接コントロールする機能については時系列管理を行っていないためY2Kの影響は受けない。このため調査委員会では、1.内部事象としてはプロセス計算機やモニタリングポストなど、時系列管理を用いている監視記録機能を有する装置において万一の不具合が起こること(これら装置についても適切に調査・改修が行われていることを確認済み)、2.外部事象として、電力の消費者の設備などに影響が生じ、電力の使用量が大幅に増減する場合を想定し、検討を実施。いずれの場合も原子力発電所の安定運転に支障を及ぼさないと評価している。

また各電気事業者では念のため、放射性廃棄物の事前処理による最大限の貯蔵容量の確保、測定機器の仮設、非常用ディーゼル発電機用燃料の確保、対応要員のための食料確保、デジタル機器の予備品・貯蔵品の確保、通信手段の確保といった対策を検討するとともに、情報連絡体制などの整備や訓練の実施、関係者への周知徹底といったことなども実施している。

同調査委員会では、これら各電気事業者で作成された「原子力発電Y2K危機管理計画」の内容は妥当であり、問題発生想定日においても発電所の安全・安定運転は確保されると判断するとともに、今後は引き続き国内外からの情報を収集し、必要に応じて適宜計画の見直しを図っていくとともに、Y2Kについて「積極的な広報活動に取リ組んで行くことが必要」としている。


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