[原子力産業新聞] 1999年11月18日 第2013号 <3面>

英BE社、米原発購入で良好決算

カナダ炉の買収も検討中

英国にある原子力発電所の持ち株会社であるブリティッシュ・エナジー(BE)社は10日、今年度上半期の決算を公表し、買収手続きが完了しつつあるスリーマイルアイランド1号機(87万2000キロワット、PWR)やクリントン発電所(98万5000キロワット、BWR)など米国の原子力発電所のお陰で業績が堅調であることを明らかにした。

声明によると、今期は初めて同社の北米地域での活動収益が計上され、5月に運転を再開したクリントン発電所からは管理契約による収益が600万ポンド(10億5000万円)に達したことから、年度末には本格的な増益が見込めると同社は期待している。

9月末までの半年間、総取り引き高は前年同期の9億3500万ポンドから9億1300万ポンド(約1600億円)に減る一方、税引き前収益は前年同期の4600万ポンドから5500万ポンド(96億円)に拡大。1株あたりの中間配当が7.5%増の5.7ペンスとなったため、総額で4億3200万ポンド(756億円)を約束通り株主たちに還元できることを伝えている。

所有する原子力発電所からの半年間の総発電電力量は314億キロワット時で、前年同期比4%減となったが、これは特にヘイシャム2号機(60万キロワット、AGR)でローターが故障し長期の計画外停止を強いられるなど、主として技術的な問題によると強調。その代わりに運転コストの削減に成功したことから、全体の収益改善につながったと説明している。

国外取り引き関連では、同社は原子力分野でも、また幅広いエネルギー分野全体についても、規制緩和された米国の市場からどれほどの潜在的なビジネス・チャンスが見込めるか審査中だとコメント。同社と米PEOOエナジー社の合弁企業であるアマージェン社は、クリントン発電所を含めてナインマイルポイント1、2号機、オイスタークリーク、ヴァーモントヤンキーの5基の買収交渉を進めている。米国以外ではカナダのオンタリオ州で稼働する原子力発電所を複数、買収する可能性も追求しているところだと付け加えた。

国内では所有する8サイトの原子力発電所で一層多く発電することに引き続き集中していく考えであると言明したほか、さらなる努力により年間2500万ポンド(約44億円)のコスト削減が可能であることも明らかにしている。また、電力・ガスの供給事業体であるSWALEC社の買収が9月に貿易産業省(DTI)の承認を受けたのに続き、新たな電力供給企業の買収も検討していることを認めた。


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