[原子力産業新聞] 1999年12月9日 第2016号 <1面>

原子力委専門部会、TRU廃棄物処分の基本方策案示す

高濃度は4グループ化

原子力委員会の原子カパックエンド対策専門部会(部会長・熊谷信昭阪大名誉教授)は11月30日、昨年12月から検討してきた超ウラン(TRU)核種を含む放射性廃棄物処理処分の基本的考え方(案)を取りまとめた。対象となる廃案物は核種の濃度に幅があることから、1.被曝線量が目安線量(10マイクロ・シーベルト/年)を超えない政令濃度上限値を下回るものについては浅地中のコンクリートピットヘの処分、2.アルファ核種の濃度が一応の区分目安値(約1ギガベクレル/トン)を大きく超えないものの一部は地下50〜100メートルへ施設で処分可能、3.区分目安値を超えるもの(上記2の廃棄物も含む)については4つにグループ化して比較的大きな空洞へ地層処分、に分類して処分する考えを示した。またこれらの廃棄物処分は発生当事者の責任で行うことが原則だとしている。

TRU廃棄物は再処理施設やMOX燃料加工施設の運転・解体に伴って発生する(またRI利用施設等からも発生)。使用済みフィルター、廃液、紙タオルなどの低レベルなものから、便用済み燃料の被覆管の断片等(ハル・エンドピース)のような比較的高い濃度のものまで幅広いのが特徴。発生量は合計5万6,000立方メートルと試算されており、このうち約80%は再処理施設の運転に伴い発生する。

処理については、濃縮廃液はペレット化しセメント固化、ハル・エンドピースは圧縮後にキャニスターに収納、可燃・難燃・不燃廃棄物は焼却または溶融後にセメント固化することを想定して検討した。

処分としては、政令濃度上限値を下回るもの(対象廃棄物の約4割)と数十マイクロシーベルト程度とやや上限値を超える廃棄物については既存の低レベル廃棄物処分方法で処分可能としている。

一方、既存の低レベル処分概念で処分できない比較的高いレベルのTRU廃棄物については、その特性に応じて、1.廃銀吸着材のセメント固化体、2.ハル・エンドピースの圧縮収納体、3.硝酸塩を多量に合むプロセス濃縮廃液のアスファルト固化体、4.それ以外の廃棄体、の4つにグループ化し、発生量合計1万8,000立方メートルをまとめて比較的大きな空洞へ地層処分する場合について検討した。その結果、人工バリア構成を踏まえ坑道の力学的安定性、発熱の影響さらに海外の処分施設の設計例や国内の地下施設の実績等を考慮し、「処分施設概念は現在の技術で構築することは可能」との見通しを得た。

示された処分場の例では、1万8,000立方メートルの廃棄物の処分に必要な処分場の大きさは結晶質岩系岩盤で約200m×約300m程度、堆積岩系岩盤では約300m×300m程度の見通しとなった。

今後は処分事業の責任分担、費用の確保、安全確保に係わる関係法令等の整備・検討が必要としている。


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