[原子力産業新聞] 1999年12月9日 第2016号 <1面>

サイクル機構、日本複合と濃縮技術で協定

仏社、遠心機導入を計画・企業化調査に協力

核燃料サイクル開発機構は3日、日本複合材料(本社=東京都港区、犬竹紀弘社長)とウラン濃縮技術に関する技術協力協定を締結した。

今回の協定は、仏コジェマ社が予定している複合材料胴遠心機を使用した数百トンSWU規模のウラン濃縮工場の建設計画に対して、この複合材料胴遠心機用回転円筒の製造メーカーである日本複合材料にフィージビリティ・スタディの協力要請を行ったことを受けたもの。

複合材料胴遠心機はサイクル機構と日本原燃、電気事業者が共同で研究開発してきた高性能機で、すでに原燃の六ヶ所濃縮工場に据え付けられている金属胴タイプの約1.5倍の性能を持つ。ただ原燃はこの高性能機は使わず、さらに性能をアップした「高度化機」を使うことにしている。日本複合材料としては、コジェマ社から求められていた協力について、サイクル機構が保有している技術・経験が必要と判断し、技術協力を要請していた。これに対して同機構は、ウラン濃縮に係わる技術成果の活用を図る観点から協力していくことを決めた。

両者の協定は、複合材料胴遠心機によるプラントの建設・運転費、安全・信頼性等の技術的な可能性の検討を進めていくに際して、サイクル機構側の開示情報の取り扱いなどを定めており、期間は来年3月までの予定。

コジェマ社はイタリアやスペイン、ベルギーの企業と国際コンソーシアムを組んで、1979年からガス拡散法による濃縮工場(仏トリカスタン、約1万800トンSWU)を操業しているが、より経済性に優れるとされる遠心分離機は持っていない。コジェマ社によると、2010年頃以降に同工揚は更新期を迎えるとしている。


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