[原子力産業新聞] 1999年12月16日 第2017号 <2面>

JCO臨界事故

「放射線影響なし」

安全委・健康管理委員会、中間まとめで見解

JCO事故による被曝者の健康問題を検討している原子力安全委員会の健康管理委員会(主査・長瀧重信放射線影響研究所理事長)は9日、高線量被曝した3名の作業員を除いて、「被曝線量は急性放射線障害や晩発性の確定的影響を生じるレベルではない」などとする中間的取りまとめを行った。

放射線誘発がんなど、晩発的な確率的影響についてはICRPなどの報告書や最近の原爆被爆者調査の結果等を考慮し、周辺環境の線量評価結果を踏まえると通常の範囲内であり、「過剰ながんを観察することができないレベル」と判断。その上で、健康管理が必要な被曝レベルは、がんによるごくわずかな列亡の増加が認められた最小の線量50ミリシーベルト以上とすることが妥当というのが委員らの大方の意見だった。それ未満の被曝者に対しても「心のケア」、健康相談などきめ細かく対応していく。また、胎児の被曝による確率的影響、遺伝的影響についても、原爆被爆者の調査結果等により、観察されないレベルにあると推定している。


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