[原子力産業新聞] 1999年12月16日 第2017号 <3面>

フラマトム・シーメンス

両社の原子力部門を合併

世界最大の原子炉メーカー、来年第3四半期にも始動

フランスのフラマトム社とドイツのシーメンス社は6日、双方の原子力部門を合併し、新たな合弁事業体を設立することで合意に達したと発表した。お互いの業務価値を考慮し、新会社の株式の66%はフラマトム社、残り34%をシーメンス社が保有するなど、原則を定めた協定の調印は同日に済ませており、細則についての交渉も2、3か月以内に完了する予定。欧州および米国の反トラスト当局の承認が得られれば来年第3四半期にも総売り上げ高31億ユーロ(3,400億円)、従業員数1万3,000人という世界最大規模の原子炉メーカーが活動を開始する。

両社の共同声明によると、合併の狙いは国際的な原子力市場で競争力を強化すること。欧州市場が近年停滞気味なほか、電力市場の自由化に伴い価格競争の圧力が増大傾向にあることから、特に北米とアジアという重要な原子力市場で立場を拡大していきたいとしている。両社とも、今後10年には欧州と米国で新規原子力発電所の建設事業が復活すると見込んでいることから、この部門における互いの専門技術を維持し、将来も技術開発を押し進められるよう協力を強めたいとの認識を示した。企業形態はジョイント・ベンチャーで、両社がドイツ、フランスおよび米国に所有する設備も統合されることになる。

フラマトム社の会長兼最高経営責任者(CEO)のD・ビニョン氏は今回の合併を「これまでに両社が原子力技術分野で培い、分かち合ってきた経験の完璧な統合」と評価。双方の資源や研究開発、製造、マーケティング、販売、サービスなどにおける相乗効果を活用することによって欧州市場での立場を強化し、新規プラントの建設が再開する日のために一層の競争力を蓄えていきたいとの抱負を述べた。

一方シーメンス社発電事業部(KWU)のN・ケーニッヒ執行役員は、この合弁事業によって同社の原子力事業やノウハウ、最大数の雇用を長期的に確保できるとして歓迎するとともに、「その国際的な性格から、双方の国の政治的な進展から影響を受けにくい」と判断したことを明らかにした。

なお、2社は同日、フランス核燃料公社(COGEMA)を交えた3社間でも将来の協力に関する概略的な協定に調印しており、新会社は原子燃料サイクル部門でCOGEMAとのこれまでの緊密な連携から利益を得られると言明。燃料供給と再処理およびMOX燃料の成形加工で同公社から顧客に対する一括契約の提供が期待できるとの見通しを示した。

シーメンス社とフラマトム社は89年から合弁企業のニュークリア・パワー・インターナショナル(NPI)社を通じて欧州加圧水型炉(EPR)の開発を進めているほか、他社が供給した原子炉への取り替え用機器の製造や東欧諸国で稼働する旧ソ連型PWRの安全性改善作業など個別の協力関係も築いてきた。


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