[原子力産業新聞] 1999年12月16日 第2017号 <2面>

ブルガリア、旧型炉の早期閉鎖に合意

EUへの加盟交渉開始へ

欧州委員会(EC)のG・フェアホイゲン拡大EC担当委員は11月30日、ブルガリアで稼働するコズロドイ原子力発電所の旧ソ連型PWR4基(各44万キロワット)に関する話し合いの結果、これらの早期閉鎖でブルガリア政府と合意に達したことを発表した。これにより、来年早々にも同国の欧州連合(EU)への加盟交渉が開始されると見られている。

この前日にソフィアで行われた両者の協議で、ブルガリアのI・コストフ首相は同1、2号機を2003年より前に閉鎖する決定を下したことを明らかにしたため、フェアホイゲン委員は声明文の中でECではこれらが遅くとも2002年までには閉鎖されると認識していると述べた。また、2002年時点で同国政府は3、4号機の閉鎖時期についてもEC側に確約することで合意。ブルガリアの現行のエネルギー戦略計画では3、4号機はそれぞれ2008年と2010年に閉鎖すると明記されていることから、EC側は実際の閉鎖は少なくともそれより前の段階、遅くとも2006年には実行されると理解していることを明らかにした。

今回の会意によりECからは2000年から2006年までの間、「東欧援助緊急時計画」(PHARE)の枠組みから2億ユー口(210億円)がブルガリアに供与されることになる。

東欧者国こは西欧諸国のレベルまで安全性を改善するのが難しいと判断されている旧ソ連型原子炉が8基存在することから、ECではこれらが稼働するスロバキア、リトアニア、ブルガリアの3国に対してはEUへの加盟交渉を始める前提条件として、これらの炉の早期閉鎖日程を明示するよう要請していた。

これまでにスロバキアが第1世代のVVERであるポフニチェ原子力発電所1、2号機(各43万キロワット)をそれぞれ2006年と2008年に、リトアニアがチェルノブイリと同じRBMKであるイグナリナ原子力発電所1号機(150万キロワット)を2005年までに閉鎖することで同意済み。ECでは今回のブルガリアの同意を歓迎するとともに、「欧州における原子力安全確保に向けた重要な一歩」と高く評価している。


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