[原子力産業新聞] 1999年12月16日 第2017号 <3面>

核物質輸送、手続の見直し開始

ベルギー、外部審査機関も活用

9月に少量のプルトニウム溶液がベルギーから英国まで誤って輸送された事象に鑑み、ベルギーの国際的な計測機関である標準物質・計測協会(IRMM)は欧州委員会(EC)の要請に従って原因究明調査を実施するとともに、直ちに核物質輸送手続きの見直しを開始した。

発端となった事象は9月2日、IRMMがベルギーのキールから放射性物質輸送用コンテナを保修のためルクセンブルク経由で英国のアビングドンにあるクロフト・アソシエーツ社まで送った際、空のはずだったコンテナ内部に希釈されたプルトニウム硝酸液(プルトニウムの総量は0.69グラム)が残留していたというもの。溶液が外部に漏れた形跡はなく、環境および個人への影響もなかった。

IRMMは最初の原因調査チームによる勧告が出た直後から、事故の再発を防ぐため操業・作業手順や体制、規則、管理機構の改善を開始。出発準備の際、常に放射性物質と空のコンテナ、およびパッケージを物理的に隔離しておくことなどを決めた。

また、最終的な審査報告では、次のような点がIRMMに勧告されている。すなわち、1.作業スタッフの役割と責任分担を明確化するなど操業規則と手順の改訂を最優先に実施する、2.外部の調査管理機関が有効に機能するよう共同作業体制を整備する、3.放射性物質の輸送、利用、処理、取扱いに係わるスタッフや放射線防護担当官の訓練内容および訓練周期などを正式に定める、など。

改訂規則が施行されるまでは、いかなる放射性物質の輸送にもIRMM事務局長の承認が必要となっている。


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