[原子力産業新聞] 1999年12月23日 第2018号 <1面>

[JCO臨界事故] 入院中の大内さん死亡

事故から83日目、国内施設で初の犠牲者

東海村のJCO臨界事故で高線量の放射線被曝した同社員の大内久さん(35歳)が21日午後11時21分、入院中の東大付属病院で、放射線被曝による多臓器不全で死亡した。9月30日の事故から83日目だった。国内の原子力施設での被爆による死亡者がでたのは初めて。

大内さんは他の一人と高濃縮のウラン溶液を沈殿槽に注入中に臨界が起き、全身に被曝した。放医研では約18シーベルトの被曝線量だと推定している。事故後、直ちに放医研に運ばれ、10月2日に東大病院に移され治療が行われていた。末しょう血幹細胞移植、皮ふ移植、造血因子の投与等、あらゆる治療がほどこされたが、回復には至らなかった。

大内さん訃報の報告を受けた小渕首相は「ご冥福をお祈りする」とお悔やみを述べるとともに、このような事故が二度と起きないよう原因の究明と安全対策等の抜本的強化を図っていく決意を語った。また中曽根科技庁長官もお悔やみの言葉とともに、原子力の安全確保に全力で取り組むとともに、被害者に対して適切な対応を図っていくため更に努力していきたいとコメントした。


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