[原子力産業新聞] 1999年12月23日 第2018号 <3面>

[トルコ] アックユ原発の入札結果公表へ

エネ不足解消で決断、震災で耐震性への懸念も

3日付けの報道で、トルコ発送電公社(TEAS)が今年の大晦日にも国国初の原子力発電所となるアックユ発電所建設計画の入札結果を決定すると発表したことが明らかになった。

同国のB・エセビット首相によると、67年に建設サイトを地中海沿岸のアックユに定めた同原子力発電所計画の続行は2日の夜に開かれた同国政府首脳陣の6時間に及ぶ議論の末に決まったとしており、このまま計画を順調に進めることができれば、最大出力140万キロワットの軽水炉、もしくは最小出力60万キロワットの原子炉複数基が2007年以降に完成する見通しだとしている。

アックユ発電所で採用する原子炉については、世界中の原子炉メーカーに国際入札が呼びかけられ、97年10月に3つの企業連合が入札価格を提示。TEASではこれらの価格を比較検討する一方で技術的な評価を終えていたが、入札結果の公表は再三にわたり延期された。さらに今年に入って8月に同国北西部で大地震が発生したため、サイトの耐震性を危ぶむ声が地元住民や環境保護団体から強くなり、10月に予定されていた結果の公表は再度見送られる結果になっていた。

トルコでは今毎、1,153億キロワット時を国内で発電する一方、1173億キロワット時の電力を消費。不足分はイランやグルジア、ブルガリアなどからの輸入で対処したが、11月にはロシアからのガス・パイプラインで圧力が低下したため、首都アンカラのみならずイスタンブール、ブルサでもエネルギー供給が滞る事態に陥った。C・エルスマル・エネルギー相も、「もし今度、政府が再び入札結果を決定し損なうようなことになれぱ、トルコではもう原子力発電所を建設することはできなくなったと世界中に伝えるようなものだ」との危惧を表明している。

97年に公表された各企業連合の提示価格は次の通り。

@フラマトム社とシーメンス社の合弁企業であるNPI社およびアルストム・カンペノン・ベルナール社、トルコのガランティ・コザ社などのグループは、ネット出力148万2,000キロワットの原子炉1基で建設コスト23億9,300万ドル、発電コストはキロワット時あたり2.56セントを主提案としていたほか、代替案として2基で296万4,000キロワットの原子炉を44億8,000万ドルの建設費、2.28セント/キロワット時の発電コストで提示していた。

Aカナダ原子力公社が率いる日本の日立、トルコのGAMA社らのチームは、2基で合計出力133万9,000キロワットの原子炉を25億7,200万ドルで建設する案など複数の案を提出。単基あたりの発電コストは3.37セント/キロワット時となっている。

B米国のウエスチングハウス社のグループには日本の三菱重工やトルコのエンカ社が参加。建設費32億7,900万ドルで120万キロワット級原子炉を1基、3.35セント/キロワット時の発電コストを約束している。


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