[原子力産業新聞] 2000年1月5日 第2019号 <1面>

[廃棄物シンポ] モニター通し議論

幕張と柏崎をTV中継

科学技術庁は12月18日、「放射性廃棄物シンポジウム−いま、考えてみませんか」を、千葉県・幕張メッセと原発を有する柏崎市の中央地区コミュニティセンターをテレビ会議システムで結んで行った。同システムの本格運用は初めて。他会場の様子もスクリーン上で見られるシステムにより、原子力発電による電力生産地・消費地住民それぞれの立場からの意見を交えた議論が展開された。

科技庁によると、会場になった千葉県は全国5,058か所のRI・放射線発生装置を使う事業所のうち、218か所が所在(全国第7位)、JCO事故で活躍した放射線医学総合研究所もある。

討論では、柏崎刈羽原子力発電所長を2年間務めた榎本聰明東京電力常務取締役が、「千葉県は東電の電力供給地として、またたくさんの火力発電の立地点として協力してもらっている。柏崎には原発立地点として支援を受けている。」などと、両会議地元住民らに感謝の意を表明した。榎本氏は、発電所からの増え続ける各種廃棄物の実態等に触れた上で、使用済み燃料中間貯蔵の必要性や、高レベル廃棄物処分事業へ向けた法案の早期成立への期待を述べ、参加書らにこれらバックエンド施設の立地へ向け支援を求めた。また、伊藤絢子柏崎市連合婦人会長は東京のエネルギー勉強会との交流体験を通じて、都市部の人たちにも夏季ピーク時の電力消費を少しでも減らすよう努めるなど、電力消費で生ずる廃棄物の問題に関心を持つようモニター画面から語りかけた。一方で、実際に視聴する時間より受象待機時の消費電力の方が多いTVを例に出し、消費社会を見直さずに廃棄物の議論をしても無意味と訴える声、さらには廃棄物の発生自身を止めないと処分地を受け入れる地域もないのではという懸念の他、海外の地下研究施設の一般公開や、農水省が開設する「消費者の部屋」を例に、情報公開、教育の充実を求める意見もこれまでに引き続き多く出された。

終わりにコーディネーターの土屋佳子氏は、「家庭や職場でも放射性廃案物問題について話し会ってみては」と述べ、シンポは閉幕した。


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